万葉集入門
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日本最古の和歌集「万葉集」の解説サイトです。
分かりやすい口語訳の解説に歌枕や歌碑などの写真なども添えて、初心者の方はもちろん多くの万葉集愛好家の方に楽しんでいただきたく思います。
(解説:黒路よしひろ)

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吾妹子(わぎもこ)を相(あひ)知らしめし人をこそ恋のまされば恨(うら)めしみ思(おも)へ

巻四(四九四)
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愛しい君を僕に紹介してくれた人を、恋の苦しさがまさってくると恨めしく思えることだなあ。
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この歌も田部忌寸櫟子(たべのいみきいちひこ)が大宰府(現在の福岡県)に赴任するときの一首。
この歌も舎人吉年の作との説や他の廷臣や宮女が唱和した歌だとの説もあるようではっきりとした作者は分かっていませんが、内容からいって先の巻四(四九三)と同じく田部忌寸櫟子が舎人吉年(とねりのきね)との別れを惜しんで詠んだ歌のように僕には思えます。

「こんなにも恋の苦しさが募ってくると、愛しい人と自分を最初に引き合わせてくれた人のことがむしろ恨めしくさえ思えてくる」とは、現代を生きるわれわれにも十分に共感できる感情ですよね。
「いっそうのこと最初から出会ってさえいなければ…」と思ってしまうのも、それだけ相手のことを想う愛情が強く深い証拠なのでしょう。

ちなみに、舎人吉年は天智天皇の内廷に媼(おうな)として仕えていたらしいので、この二人を引き合わせた「相知らしめし人」というのも天智天皇なのかも知れませんね。
そう考えると、田部忌寸櫟子のこの大宰府赴任も、天智天皇寄りの人物だった田部忌寸櫟子が天武天皇の治世下で地方に追いやられた左遷だったのかもと思えてきます。


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万葉集巻四の他の歌はこちらから。
万葉集巻四


万葉集書籍紹介(参考書籍)
万葉集(1)〜〜(4)&別冊万葉集辞典 中西進 (講談社文庫) 定価620円〜〜1020円(税込み)
県立万葉文化舘名誉館長でもある中西進さんによる万葉集全四冊&別冊万葉集辞典です。
万葉集のほうは原文、読み下し訳、現代語訳、解説文が付けられていて、非常に参考になりこの4冊で一応、万葉集としては充分な内容になっています。
他の万葉集などでは読み下し訳のみで現代語訳がなかったりと、初心者の方には難しすぎる場合が多いですが、この万葉集ではそのようなこともありません。

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