万葉集入門
万葉集入門
日本最古の和歌集「万葉集」の解説サイトです。
分かりやすい口語訳の解説に歌枕や歌碑などの写真なども添えて、初心者の方はもちろん多くの万葉集愛好家の方に楽しんでいただきたく思います。
(解説:黒路よしひろ)

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千鳥(ちどり)鳴く佐保(さほ)の河門(かはと)の瀬を広(ひろ)み打橋(うちはし)渡す汝(な)が来(く)とおもへば

右、郎女(いらつめ)は、佐保大納言卿(さほのだいなごんのまへつきみ)の女(むすめ)なり。初め一品穂積皇子(いっぽんほづみのみこ)に嫁(とつ)ぎ、寵(うつくし)びをうくること儔(たぐひ)なかりき。皇子薨(みまか)りましし後に藤原麿丈夫、この郎女を娉(よば)へり。郎女は、坂上(さかのうへ)の里(さと)に家(す)む。よりて族氏号(うからなづ)けて坂上郎女といへり。

巻四(五二八)
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千鳥が鳴く佐保の渡り場は瀬が広いので板を打って橋を作りましょう。あなたが逢いに来てくださるのなら。
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この歌も先の巻四(五二五)の歌と同じく、大伴坂上郎女(おほとものさかのうへのいらつめ)が藤原麿(ふじはらのまろ)の巻四(五二二)の歌などに答えて贈った四首の返歌の内のひとつ。
「千鳥が鳴く佐保の渡り場は瀬が広いので板を打って橋を作りましょう。あなたが逢いに来てくださるのなら。」と、藤原麿が逢いに来てくれるように佐保川に橋を架けましょうと詠うことで麿の来訪を待ち望む気持ちを伝えた一首ですね。
おそらくはこの歌も麿が坂上郎女に贈った巻四(五二三)の歌を受けて、天の川伝説を念頭に置いて詠まれたものなのでしょう。

天の川に架かる橋のように、佐保川に橋を架けることで麿という彦星(偏牛)の来訪を願った一首なわけですね。


奈良市の佐保川。
佐保川は現在は桜の名所にもなっています。


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万葉集巻四


万葉集書籍紹介(参考書籍)
万葉集(1)〜〜(4)&別冊万葉集辞典 中西進 (講談社文庫) 定価637円〜〜1101円(税込み参考価格)
県立万葉文化舘名誉館長でもある中西進さんによる万葉集全四冊&別冊万葉集辞典です。
万葉集のほうは原文、読み下し訳、現代語訳、解説文が付けられていて、非常に参考になりこの4冊で一応、万葉集としては充分な内容になっています。
他の万葉集などでは読み下し訳のみで現代語訳がなかったりと、初心者の方には難しすぎる場合が多いですが、この万葉集ではそのようなこともありません。

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