万葉集入門
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日本最古の和歌集「万葉集」の解説サイトです。
分かりやすい口語訳の解説に歌枕や歌碑などの写真なども添えて、初心者の方はもちろん多くの万葉集愛好家の方に楽しんでいただきたく思います。
(解説:黒路よしひろ)

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難波潟潮干(なにはがたしほひ)の波残飽(なごりあ)くまでに人の見る児(こ)をわれし羨(とも)しも

巻四(五三三)
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難波潟の引き潮に残されたたくさんの波残を見るように、飽きるほどに逢うことの出来る他の男の恋人がわたしは羨ましいよ
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この歌も先の巻四(五三二)の歌と同じく、大伴宿奈麿宿禰(おほとものすくなまろのすくね)が、地方から采女として宮仕えに出仕する娘を詠んだ二首の歌のうちのひとつ。

ただ、巻四(五三二)の歌と同じく比喩などに地方色が見えることからこの歌も実際に大伴宿奈麿が詠んだものというよりは、地方に伝わっていた伝誦歌を宿奈麿が記録して都に持ち帰ったものと解釈したほうがいいかも知れませんね。

「難波潟」とあるのは「あくまで比喩なので、難波の地方の歌とは限らないようです。
「波残(なごり)」とはところどころに残された水たまり。
そんな「難波潟の引き潮に残されたたくさんの波残を見るように、飽きるほどに逢うことの出来る他の男の恋人がわたしは羨ましいよ」と、采女として都に出仕して行く自分の想い人と違い、何度でも逢うことの出来る他の男の恋人との関係を羨んだ一首となっています。

采女の選考には容姿端麗であることも条件とされ天皇の手が触れる立場でもあったことから憧れの対象として見られることも多かったようですね。
それゆえに、自分の想い人が采女として都に上がって行くということは文字通り手の届かない存在になることを意味していたのでしょう。


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万葉集巻四


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県立万葉文化舘名誉館長でもある中西進さんによる万葉集全四冊&別冊万葉集辞典です。
万葉集のほうは原文、読み下し訳、現代語訳、解説文が付けられていて、非常に参考になりこの4冊で一応、万葉集としては充分な内容になっています。
他の万葉集などでは読み下し訳のみで現代語訳がなかったりと、初心者の方には難しすぎる場合が多いですが、この万葉集ではそのようなこともありません。

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