万葉集入門
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日本最古の和歌集「万葉集」の解説サイトです。
分かりやすい口語訳の解説に歌枕や歌碑などの写真なども添えて、初心者の方はもちろん多くの万葉集愛好家の方に楽しんでいただきたく思います。
(解説:黒路よしひろ)

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反歌

敷栲(しきたへ)の手枕(たまくら)巻かず間(あひだ)置きて年そ経(へ)にける逢はなく思へば

右は、安貴王、因幡(いなば)の八上采女(やかみのうねめ)を娶(ま)きて、係念極(おもひきは)めて甚(はなはだ)しく、愛情尤(もつと)も盛りなりき。時に勅(みことのり)して不敬の罪に断(さだ)め、本郷(もとつくに)に退去(まか)らしむ。ここに王、意(こころ)を悼(いた)み怛(かなし)びていささかこの歌を作れり。

巻四(五三五)
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やさしい手枕も巻かずに離れ離れにずいぶん時を経たなあ。逢うこともなく思えば…
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この歌も安貴王(あきのおほきみ)が因幡の八上采女(やかみのうねめ)を思って詠んだ一首で、先の巻四(五三四)の長歌に付けられた反歌。。
左注にもあるように天皇以外は手を出すことが許されない特別な存在とされている采女のひとりと恋仲になった安貴王でしたが、不敬罪(采女が天皇以外と恋をするのは不敬とされていました)としてその采女は故郷に追放となりました。
(当然、安貴王にも何らかの罪が科せられたはずですが、そのことにはここでは触れられていません。)

そんな故郷に追放となった八上采女を思って安貴王が詠んだ「やさしい手枕も巻かずに離れ離れにずいぶん時を経たなあ。逢うこともなく思えば…」との、なんとも深い寂しさの感じられる一首ですよね。
八上采女には可哀想なことをしたと思いながらも、どうすることも出来ずに遠くから思い続かるしかない安貴王だったのでしょう。


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万葉集巻四


万葉集書籍紹介(参考書籍)
万葉集(1)〜〜(4)&別冊万葉集辞典 中西進 (講談社文庫) 定価637円〜〜1101円(税込み参考価格)
県立万葉文化舘名誉館長でもある中西進さんによる万葉集全四冊&別冊万葉集辞典です。
万葉集のほうは原文、読み下し訳、現代語訳、解説文が付けられていて、非常に参考になりこの4冊で一応、万葉集としては充分な内容になっています。
他の万葉集などでは読み下し訳のみで現代語訳がなかったりと、初心者の方には難しすぎる場合が多いですが、この万葉集ではそのようなこともありません。

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