万葉集入門
日本最古の和歌集「万葉集」の解説サイトです。
分かりやすい口語訳の解説に歌枕や歌碑などの写真なども添えて、初心者の方はもちろん多くの万葉集愛好家の方に楽しんでいただきたく思います。
(解説:黒路よしひろ)
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高田女王(たかたのおほきみ)の今城王(いまきのおほきみ)に贈れる歌六首
言清(こときよ)くいたくも言ひそ一日(ひとひ)だに君いし無くは痛(たへがた)きかも
巻四(五三七)
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言葉だけできれいに言わないでください、一日だってあなたがいなければ堪えがたいのに…
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この歌は高田女王(たかたのおほきみ)が今城王(いまきのおほきみ)に贈った六首の恋歌の内の一首。
高田女王は高安王(たかやすのおほきみ)の娘で長皇子(ながのみこ)のひ孫。
長皇子は天武天皇の子です。
今城王は先の巻四(五三六)歌の門部王(かどべのおほきみ)と同一人物で大原真人今城のことであり、高田女王の叔父にあたります。
まあ、この時代の皇族や貴族では異母兄妹などの間での結婚が普通に行われていたので、叔父と姪との恋愛関係も普通のことだったようですね。
そんな叔父の今城王に対して高田女王の贈った恋歌ですが、「言葉だけできれいに言わないでください、わたしは一日だってあなたがいなければ堪えがたいのに…」と、切ない思いが詠われています。
今城王からの今夜は逢いに行けないないとの連絡があったのでしょうか。
おそらくは先に逢いに行くとの約束をした後に反故にしたのでしょうね。
「綺麗な言葉を重ねて言い訳などしないでください。」との表現には、男の都合を分かってはいても責めずにいられない女心が感じられるように思います。
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万葉集巻四
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県立万葉文化舘名誉館長でもある中西進さんによる万葉集全四冊&別冊万葉集辞典です。
万葉集のほうは原文、読み下し訳、現代語訳、解説文が付けられていて、非常に参考になりこの4冊で一応、万葉集としては充分な内容になっています。
他の万葉集などでは読み下し訳のみで現代語訳がなかったりと、初心者の方には難しすぎる場合が多いですが、この万葉集ではそのようなこともありません。
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