万葉集入門
日本最古の和歌集「万葉集」の解説サイトです。
分かりやすい口語訳の解説に歌枕や歌碑などの写真なども添えて、初心者の方はもちろん多くの万葉集愛好家の方に楽しんでいただきたく思います。
（解説：黒路よしひろ）

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わが背子（せこ）に復（また）は逢はじかと思へばか今朝（けさ）の別れのすべなかりける

巻四（五四〇）
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あなたにもうお逢いすることはできないだろうと思うからでしょうか今朝の別れは途方にくれる思いがします。
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この歌も巻四（五三七）の歌などと同じく、高田女王（たかたのおほきみ）が今城王（いまきのおほきみ）に贈った六首の恋歌の内のひとつ。
逢瀬の後のきぬぎぬですが、なんだかこれを最後にもう逢うことのない別れを決意したような意味にも取れる内容ですよね。
あるいは高田女王としては「また逢いに来る」との約束が欲しかっただけなのかも知れませんが、こう詠われては今城王はこれはなにごとかと高田女王の本心を量りかねたのではないでしょうか。

恋に感傷はつきものですが、あまりにも感傷的になりすぎるとせっかく上手く行っている恋すら失うことになる…
そんな予感すら感じさせる高田女王の一首です。

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万葉集巻四

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万葉集（１）〜〜（４）＆別冊万葉集辞典 中西進　（講談社文庫）　定価６３７円〜〜１１０１円（税込み参考価格）
県立万葉文化舘名誉館長でもある中西進さんによる万葉集全四冊＆別冊万葉集辞典です。
万葉集のほうは原文、読み下し訳、現代語訳、解説文が付けられていて、非常に参考になりこの４冊で一応、万葉集としては充分な内容になっています。
他の万葉集などでは読み下し訳のみで現代語訳がなかったりと、初心者の方には難しすぎる場合が多いですが、この万葉集ではそのようなこともありません。

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