万葉集入門
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日本最古の和歌集「万葉集」の解説サイトです。
分かりやすい口語訳の解説に歌枕や歌碑などの写真なども添えて、初心者の方はもちろん多くの万葉集愛好家の方に楽しんでいただきたく思います。
(解説:黒路よしひろ)

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常止(つねや)まず通(かよ)ひし君が使来(つかひこ)ず今は逢はじとたゆたひぬらし

巻四(五四二)
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常に絶えることなく通って来たあなたの使いが来ません。今は逢わないでおこうと躊躇ってらっしゃるのでしょうか…
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この歌も巻四(五三七)の歌などと同じく、高田女王(たかたのおほきみ)が今城王(いまきのおほきみ)に贈った六首の恋歌の内のひとつ。
「常に絶えることなく通って来たあなたの使いが来ません。今は逢わないでおこうと躊躇ってらっしゃるのでしょうか…」との、今城王からの便りが途絶えてしまったことへの戸惑いを詠っています。
まあ、今城王も単純に人の噂が激しいので高田女王との逢瀬を一時的に控えようとしたとも考えられますが、それにしても歌の便りの使いぐらいは出しそうなものですよね。

おそらくは先の巻四(五四一)の歌などで高田女王が「現世ではあまりにも人の噂が激しいので来世でお逢いしましょうあなた。今でなくとも…」と詠ったことへの戸惑いがあったのではないでしょうか。
普通に考えれば女から「来世で逢いましょう。今でなくとも…」と言われれば、男は別れを切り出されたと感じても仕方がないとも思いますが、高田女王にはそんなつもりは全くなかったのでしょうね。
突然、今城王からの使いが途絶えたことに戸惑う様子がよく表れている一首のように感じます。

この後、今城王と高田女王の関係がどうなったのかを伝える歌は万葉集には記載されていません。

以上、高田女王が今城王に贈った六首の恋の相聞歌でした。


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万葉集巻四


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県立万葉文化舘名誉館長でもある中西進さんによる万葉集全四冊&別冊万葉集辞典です。
万葉集のほうは原文、読み下し訳、現代語訳、解説文が付けられていて、非常に参考になりこの4冊で一応、万葉集としては充分な内容になっています。
他の万葉集などでは読み下し訳のみで現代語訳がなかったりと、初心者の方には難しすぎる場合が多いですが、この万葉集ではそのようなこともありません。

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