万葉集入門
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日本最古の和歌集「万葉集」の解説サイトです。
分かりやすい口語訳の解説に歌枕や歌碑などの写真なども添えて、初心者の方はもちろん多くの万葉集愛好家の方に楽しんでいただきたく思います。
(解説:黒路よしひろ)

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反歌

後(おく)れゐて恋ひつつあらずは紀伊(き)の国の妹背(いもせ)の山にあらましものを

巻四(五四四)
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後に残って恋い苦しんでいないで、あなたがゆく紀伊の国の妹背の山のようでありたいものです
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この歌も、笠朝臣金村(かさのあそみかなむら)が代作して詠んだ一首で、先の巻四(五四三)の長歌に付けられた反歌のひとつ。
聖武天皇の行幸に従駕して紀伊の国に旅立った夫のためにと娘子(をとめ)に頼まれて詠んだとされる歌なわけですが、「後に残って恋い苦しんでいないで、あなたがゆく紀伊の国の妹背の山のようでありたいものです」との、夫を思う娘子の心情をそのまま表現したような一首となっています。

「妹背(いもせ)の山」は、和歌山県にある妹山と背山のことで、紀の川を挟んで二つの山が向かい合っています。
背山の「背」は「夫」などの意味で、妹山の「妹」は「妻」を表すので、お互いに並び見つめ合っているような妹背の山を男女の仲睦まじい様子と見て取って、そんな妹背の山のように夫の側に並んで一緒にいたいとの願いが込められているわけですね。

娘子の夫が旅だった紀伊の国の妹背の山を譬えに出して詠んだ、笠金村らしい上手い一首のように思います。


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万葉集巻四


万葉集書籍紹介(参考書籍)
万葉集(1)〜〜(4)&別冊万葉集辞典 中西進 (講談社文庫) 定価637円〜〜1101円(税込み参考価格)
県立万葉文化舘名誉館長でもある中西進さんによる万葉集全四冊&別冊万葉集辞典です。
万葉集のほうは原文、読み下し訳、現代語訳、解説文が付けられていて、非常に参考になりこの4冊で一応、万葉集としては充分な内容になっています。
他の万葉集などでは読み下し訳のみで現代語訳がなかったりと、初心者の方には難しすぎる場合が多いですが、この万葉集ではそのようなこともありません。

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