万葉集入門
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日本最古の和歌集「万葉集」の解説サイトです。
分かりやすい口語訳の解説に歌枕や歌碑などの写真なども添えて、初心者の方はもちろん多くの万葉集愛好家の方に楽しんでいただきたく思います。
(解説:黒路よしひろ)

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今夜(こよひ)の早く明(あ)くればすべを無(な)み秋の百夜(ももよ)を願ひつるかも

巻四(五四八)
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共寝の今夜が早く明けてしまうので術もなく、秋の百夜のように長い夜を願ったことです。
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この歌も、笠朝臣金村(かさのあそみかなむら)が聖武天皇の三香原離宮(みかのはらのとつみや)行幸に従駕したときに土地の娘子を妻として得た喜びを詠ったもので、巻四(五四六)の長歌に付けられた二首の反歌の内のひとつ。

巻四(五四六)の長歌や先の巻四(五四七)の歌と同じく、この歌も土地の娘を主題にして詠んだ虚構歌となっています。
内容的には長歌の最後を繰り返しただけのものとなっていますが、それゆえに読み手の心に繰り返し響いてくる魅力のようなものも感じられるかと思います。

この歌が詠まれたのは三月の春のことで、「春の短夜」と言われるように夜の最も短い頃でした。
それゆえに歌の中での妻との愛しい共寝の時間も短く、「秋の百夜(長夜)」のように長い夜であってほしいと祈る内容になったわけですね。

それにしても笠金村がこれらの歌を詠んだのは千数百年も前のことであるのに、現代人に何の違和感もなく共感できる恋歌であることに驚かされますよね。
どんなに時代が移り変わっても、人が人を思う恋心だけは変わらないものなのでしょう。


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万葉集巻四


万葉集書籍紹介(参考書籍)
万葉集(1)〜〜(4)&別冊万葉集辞典 中西進 (講談社文庫) 定価637円〜〜1101円(税込み参考価格)
県立万葉文化舘名誉館長でもある中西進さんによる万葉集全四冊&別冊万葉集辞典です。
万葉集のほうは原文、読み下し訳、現代語訳、解説文が付けられていて、非常に参考になりこの4冊で一応、万葉集としては充分な内容になっています。
他の万葉集などでは読み下し訳のみで現代語訳がなかったりと、初心者の方には難しすぎる場合が多いですが、この万葉集ではそのようなこともありません。

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