万葉集入門
日本最古の和歌集「万葉集」の解説サイトです。
分かりやすい口語訳の解説に歌枕や歌碑などの写真なども添えて、初心者の方はもちろん多くの万葉集愛好家の方に楽しんでいただきたく思います。
(解説:黒路よしひろ)
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大船(おおふね)の思ひたのみし君が去(い)なばわれは恋ひむな直(ただ)に逢(あ)ふまでに
巻四(五五〇)
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大船のように頼みに思っていたあなたが去ってしまったら私はどんなに恋しいことでしょう。直にまた逢えるまでの間…
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この歌も先の巻四(五四九)の歌と同じく、大宰少弐(だざいのせうに)として筑紫の大宰府に赴任していた石川足人(いしかはのたりひと)が、その任を終えて帰るときに餞別に詠まれた三首の歌のひとつ。
こちらも集団としての餞別歌なので作者はあえて不詳となっていますが、どこか恋歌のような内容にも読めますね。
ただ、実際には宴会の席で詠まれた相聞歌であり作者はおそらく男性だったろうと思われます。
別れの席とはいえ、石川足人にとっては都に還れる目出度い祝いの場でもあるので、おそらくは戯れの意味も込めて女性的な恋歌に近い内容として詠んだのでしょう。
「大船のように頼みに思っていたあなた」という部分に、足人への信頼感が表れているようでなかなかに心のこもった餞別歌でもあるように感じます。
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万葉集巻四の他の歌はこちらから。
万葉集巻四
万葉集書籍紹介(参考書籍)
万葉集(1)〜〜(4)&別冊万葉集辞典 中西進 (講談社文庫) 定価637円〜〜1101円(税込み参考価格)
県立万葉文化舘名誉館長でもある中西進さんによる万葉集全四冊&別冊万葉集辞典です。
万葉集のほうは原文、読み下し訳、現代語訳、解説文が付けられていて、非常に参考になりこの4冊で一応、万葉集としては充分な内容になっています。
他の万葉集などでは読み下し訳のみで現代語訳がなかったりと、初心者の方には難しすぎる場合が多いですが、この万葉集ではそのようなこともありません。
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