万葉集入門
日本最古の和歌集「万葉集」の解説サイトです。
分かりやすい口語訳の解説に歌枕や歌碑などの写真なども添えて、初心者の方はもちろん多くの万葉集愛好家の方に楽しんでいただきたく思います。
(解説:黒路よしひろ)
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大伴坂上郎女(さかのうへのいらつめ)の歌二首
黒髪(くろかみ)に白髪交(しらかみまじ)り老(お)ゆるまでかかる恋にはいまだ逢はなくに
巻四(五六三)
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黒髪に白髪が交じる老年の今日まで、これほどの恋にはいまだ出逢ったことがありません
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この歌は大伴坂上郎女(おほとものさかのうへのいらつめ)詠んだ恋歌二首のうちのひとつ。
「黒髪に白髪が交じる老年の今日まで、これほどの恋にはいまだ出逢ったことがありません」と、老年の身になって出逢った恋への戸惑いと喜びが素敵に表現された一首ですよね。
一応、内容が大伴百代(おほとものももよ)の詠んだ巻四(五五九)の歌に似ていることから、大宰府での宴会などの席で百代の詠んだ恋歌に即興で唱和した歌である可能性もありますが…
それにしてもこのような老境の恋に共感できる実際の経験がやはり坂上郎女の中にもあったのでしょうね。
万葉集の時代は女性などは三十歳を過ぎればもう恋愛の適齢期を過ぎていると思われていたようで、それゆえに恋心を胸に秘めて思い悩む女性も多かったのではないでしょうか。
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万葉集巻四
万葉集書籍紹介(参考書籍)
万葉集(1)〜〜(4)&別冊万葉集辞典 中西進 (講談社文庫) 定価637円〜〜1101円(税込み参考価格)
県立万葉文化舘名誉館長でもある中西進さんによる万葉集全四冊&別冊万葉集辞典です。
万葉集のほうは原文、読み下し訳、現代語訳、解説文が付けられていて、非常に参考になりこの4冊で一応、万葉集としては充分な内容になっています。
他の万葉集などでは読み下し訳のみで現代語訳がなかったりと、初心者の方には難しすぎる場合が多いですが、この万葉集ではそのようなこともありません。
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