万葉集入門
日本最古の和歌集「万葉集」の解説サイトです。
分かりやすい口語訳の解説に歌枕や歌碑などの写真なども添えて、初心者の方はもちろん多くの万葉集愛好家の方に楽しんでいただきたく思います。
(解説:黒路よしひろ)
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大宰大監(だいげん)大伴宿禰百代等(ももよら)の駅使(はゆまづかひ)に贈れる歌二首
草枕旅行く君を愛(うるは)しみ副(たぐ)ひてそ来(こ)し志賀(しか)の浜辺(はまべ)を
右の一首は、太宰大監大伴宿禰百代
巻四(五六六)
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草を枕の旅に出る君を愛おしんで共にやって来ました。志賀の浜辺を
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この歌は都へ帰ってゆく駅使(はゆまづかひ)を見送る餞別の宴の際に、大伴宿禰百代(おほとものすくねももよ)が詠んだ一首。
「志賀(しか)」は福岡県の志賀島でしょうか。
次の巻四(五六七)の歌の左注によると、筑紫(今の福岡県)の大宰府に派遣されていた大伴旅人(おほとものたびと)が病になったときに、旅人が遺言したいとの要請で奈良の都から大伴稲公(おほとものいなきみ)と大伴胡麿(おほとものこまろ)が見舞いに来たそうです。
その後、幸いにも数十日ほどで旅人の病は回復し、大伴稲公と大伴胡麿の二人は都へと帰って行きました。
そんな二人を見送るために夷守の駅まで共に来た大伴百代が餞別の宴の席で詠んだのがこの歌で、「草を枕の旅に出る君を愛おしんで共にやって来ました。志賀の浜辺を」と、二人との別れを惜しむ内容の歌になっています。
奈良の都と筑紫に離れ離れになっていた同じ大伴一族の身内同士、久しぶりに再会した後の別れはやはり名残惜しいものがあったのでしょうね。
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万葉集巻四
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県立万葉文化舘名誉館長でもある中西進さんによる万葉集全四冊&別冊万葉集辞典です。
万葉集のほうは原文、読み下し訳、現代語訳、解説文が付けられていて、非常に参考になりこの4冊で一応、万葉集としては充分な内容になっています。
他の万葉集などでは読み下し訳のみで現代語訳がなかったりと、初心者の方には難しすぎる場合が多いですが、この万葉集ではそのようなこともありません。
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