万葉集入門
日本最古の和歌集「万葉集」の解説サイトです。
分かりやすい口語訳の解説に歌枕や歌碑などの写真なども添えて、初心者の方はもちろん多くの万葉集愛好家の方に楽しんでいただきたく思います。
(解説:黒路よしひろ)
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大宰師大伴卿の大納言に任(ま)けらえて京(みやこ)に臨入(いら)むとせし時に、府(つかさ)の官人等(つかさびとら)の卿を筑前国(つくしのみちのくのくに)の蘆城(あしき)の駅家(うまや)にして餞(うまのはなむけ)せる歌四首
み崎廻(さきみ)の荒磯(ありそ)に寄する五百重波(いほへなみ)立ちても居てもわが思へる君
右の一首は、筑前掾門部連石足(じようかどべのむらじいはたり)
巻四(五六八)
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岬のめぐりの荒磯に寄せる幾つもの波のように、立っても座っても私の心に思い出されるあなたよ。
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この歌は大宰師の大伴旅人(おほとものたびと)が大納言に任じられて奈良の都へ帰るときに、筑前国(つくしのみちのくのくに)の蘆城(あしき)の駅家(うまや)にて餞別の宴の席で詠まれた四首の歌のうちのひとつ。
作者は筑前掾門部連石足(じようかどべのむらじいはたり)となっています。
老齢で病を得たりと体調が優れなかった(巻四:五六六など参照)ためでしょうか。
あるいは長屋王(ながやのおほきみ)が自害したことで、藤原家がもはや旅人たち皇親派を恐れる必要がなくなったためでしょうか。
大宰師(大宰府の長官)として筑紫に派遣されてから三年ほどの期間を経て、大伴旅人もようやく奈良の都へ戻ることが許されたようです。
そんな旅人を見送る餞別の席で「岬のめぐりの荒磯に寄せる幾つもの波のように、立っても座っても私の心に思い出されるあなたよ。」と門部石足が詠んだ一首ですが、大宰府で旅人と過ごした日々の楽しさを思い出しての別れを惜しむ気持ちがよく表れていますね。
旅人は都へ帰った翌年に病で亡くなってしまうのですが、その短い期間も大宰府で交友のあった人々と歌や手紙のやり取りをするなど、人々に愛された人望を感じさせてくれます。
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万葉集巻四
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万葉集のほうは原文、読み下し訳、現代語訳、解説文が付けられていて、非常に参考になりこの4冊で一応、万葉集としては充分な内容になっています。
他の万葉集などでは読み下し訳のみで現代語訳がなかったりと、初心者の方には難しすぎる場合が多いですが、この万葉集ではそのようなこともありません。
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