万葉集入門
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日本最古の和歌集「万葉集」の解説サイトです。
分かりやすい口語訳の解説に歌枕や歌碑などの写真なども添えて、初心者の方はもちろん多くの万葉集愛好家の方に楽しんでいただきたく思います。
(解説:黒路よしひろ)

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韓人(からひと)の衣染(ころもそ)むとふ紫(むらさき)の情(こころ)に染(そ)みて思ほゆるかも

巻四(五六九)
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韓の国の人が衣を染めるのに使うという紫のように、心に染みて思い出されることだなあ。
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この歌も先の巻四(五六八)の歌と同じく、大宰師の大伴旅人(おほとものたびと)が大納言に任じられて奈良の都へ帰るときに、筑前国(つくしのみちのくのくに)の蘆城(あしき)の駅家(うまや)にて餞別の宴の席で詠まれた四首の歌のうちのひとつ。
こちらの作者は、大典麻田連陽春(だいてんあさだのむらじやす)となっています。

「韓(から)」はこの時代の中国や韓国を指す呼び名。
麻田陽春は渡来系の二世であったようなので、韓の知識なども多少あったのでしょう。
「紫(むらさき)」は紫草のことで、外来の染色法によって衣服などを染めるのに使用されました。

そんな「韓の国の人が衣を染めるのに使うという紫のように、心に染みて思い出されることだなあ。」と、旅人のことが染料で染まったかのように心に染みて忘れられないとの親しみと離別の寂しさを詠った一首ですね。

旅人は太宰師としての任を全うした功績が認められて、この時、正三位大納言に昇進しました。
万葉時代の律令制度では正三位以上の者は礼服の色に浅紫を使用することから、この「紫」には旅人自身を譬えてあると同時に大納言就任の祝いの意味も込められているわけですね。


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万葉集巻四


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万葉集(1)〜〜(4)&別冊万葉集辞典 中西進 (講談社文庫) 定価637円〜〜1101円(税込み参考価格)
県立万葉文化舘名誉館長でもある中西進さんによる万葉集全四冊&別冊万葉集辞典です。
万葉集のほうは原文、読み下し訳、現代語訳、解説文が付けられていて、非常に参考になりこの4冊で一応、万葉集としては充分な内容になっています。
他の万葉集などでは読み下し訳のみで現代語訳がなかったりと、初心者の方には難しすぎる場合が多いですが、この万葉集ではそのようなこともありません。

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