万葉集入門
日本最古の和歌集「万葉集」の解説サイトです。
分かりやすい口語訳の解説に歌枕や歌碑などの写真なども添えて、初心者の方はもちろん多くの万葉集愛好家の方に楽しんでいただきたく思います。
(解説:黒路よしひろ)
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ぬばたまの黒髪変(くろかみかは)り白髪(しらけ)ても痛(いた)き恋には逢(あ)ふ時ありけり
巻四(五七三)
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ぬばたまの黒髪が白髪に変わるほど老いても、こんなにつらい恋に出逢うものなのですね。
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この歌も先の巻四(五七二)の歌と同じく、大宰師の大伴旅人(おほとものたびと)が奈良の都へ帰った後に、筑紫の沙弥満誓(さみまんせい)が旅人に贈った二首の歌のうちのひとつ。
「ぬばたま」は「黒」などにかかる枕詞。
そんな「ぬばたまの黒髪が白髪に変わるほど老いてもまだ、こんなにつらい恋に出逢うものなのですね。」と、旅人への思慕の思いを詠っています。
もちろん沙弥満誓は男性なので実際の恋歌とは違いますが、旅人への慕わしい思いを男女の恋に戯れて詠んだ一首なわけですね。
ただ、そんな戯れの中にも旅人と過ごした日々を懐かしむ切実な心情は感じられるように思います。
あるいは人が人を恋しく思う情というのは時に異性への恋愛感情の範疇などをも超えることがあるのかも知れませんね。
お互いに老いてもう二度と会えないかも知れないと思えばなおさら、沙弥満誓には遠く都にいる旅人が愛おしく感じたのではないでしょうか。
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万葉集巻四
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県立万葉文化舘名誉館長でもある中西進さんによる万葉集全四冊&別冊万葉集辞典です。
万葉集のほうは原文、読み下し訳、現代語訳、解説文が付けられていて、非常に参考になりこの4冊で一応、万葉集としては充分な内容になっています。
他の万葉集などでは読み下し訳のみで現代語訳がなかったりと、初心者の方には難しすぎる場合が多いですが、この万葉集ではそのようなこともありません。
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