万葉集入門
日本最古の和歌集「万葉集」の解説サイトです。
分かりやすい口語訳の解説に歌枕や歌碑などの写真なども添えて、初心者の方はもちろん多くの万葉集愛好家の方に楽しんでいただきたく思います。
(解説:黒路よしひろ)
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大夫(ますらを)もかく恋ひけるを手弱女(たわやめ)の恋ふる情(こころ)に比(たぐ)ひあらめやも
巻四(五八二)
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立派な男子のあなたが夢に現れてまで恋してくださっているけれど、か弱い女の私の恋する心には比べようもありません。
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この歌も先の巻四(五八一)と同じく、大伴坂上大嬢(おほとものさかのうへのいへのおほをとめ)が大伴宿禰家持(おほとものすくねやかもち)に贈った四首の歌のうちのひとつ。
「家持が夢にまで出てきてくれるほどに自分を恋しく思ってくれているけれども、か弱い女の私のあなたへの恋しさには比べようもありません」と、自分の家持を恋しく思う心のほうがはるかに大きいのだと訴えています。
男の家持の恋の苦しさを理解しながらも、自分からはなかなか行動を起こすことの出来ない女性の側の恋の苦しさを訴えることで家持の気持ちに答えているわけですね。
この頃の大嬢や家持はまだまだ若い年代であったと思われますが、それゆえにこれらの大嬢の贈った歌には若者らしい素直な恋の苦しみが見て取れるように思えます。
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万葉集巻四
万葉集書籍紹介(参考書籍)
万葉集(1)〜〜(4)&別冊万葉集辞典 中西進 (講談社文庫) 定価620円〜〜1020円(税込み)
県立万葉文化舘名誉館長でもある中西進さんによる万葉集全四冊&別冊万葉集辞典です。
万葉集のほうは原文、読み下し訳、現代語訳、解説文が付けられていて、非常に参考になりこの4冊で一応、万葉集としては充分な内容になっています。
他の万葉集などでは読み下し訳のみで現代語訳がなかったりと、初心者の方には難しすぎる場合が多いですが、この万葉集ではそのようなこともありません。
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