万葉集入門
日本最古の和歌集「万葉集」の解説サイトです。
分かりやすい口語訳の解説に歌枕や歌碑などの写真なども添えて、初心者の方はもちろん多くの万葉集愛好家の方に楽しんでいただきたく思います。
(解説:黒路よしひろ)
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わが屋戸(やど)の夕影草(ゆふかげくさ)の白露(しらつゆ)の消(け)ぬがにもとな思(おも)ほゆるかも
巻四(五九四)
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わが家の夕映えの中に光る草の白露のように消えてしまいそうなほどに心が切なく思われます。
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この歌も巻四(五八七)などの歌と同じく、笠女郎(かさのいらつめ)が大伴家持(おほとものやかもち)に贈った二十四首の相聞歌のうちの一首。
「夕影草(ゆふかげくさ)」は夕日の射す中で光る草。
そんな「わが家の夕映えの中に映える草の白露のように消えてしまいそうなほどあなたを思って切ない心です」と、家持を思う恋心の切なさを訴えかけています。
万葉集には多くの恋歌が集録されていますが、そんな中でもこの笠女郎が家持を思って詠んだ一連の恋歌はとくに現在を生きるわれわれに共感させる切ない思いを持っているように思います。
それはきっと、人を思う心が必ずしも報われるものではないという恋の悲しい一面を伝えてくれているからなのでしょう。
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万葉集巻四
万葉集書籍紹介(参考書籍)
万葉集(1)〜〜(4)&別冊万葉集辞典 中西進 (講談社文庫) 定価620円〜〜1020円(税込み)
県立万葉文化舘名誉館長でもある中西進さんによる万葉集全四冊&別冊万葉集辞典です。
万葉集のほうは原文、読み下し訳、現代語訳、解説文が付けられていて、非常に参考になりこの4冊で一応、万葉集としては充分な内容になっています。
他の万葉集などでは読み下し訳のみで現代語訳がなかったりと、初心者の方には難しすぎる場合が多いですが、この万葉集ではそのようなこともありません。
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