万葉集入門
日本最古の和歌集「万葉集」の解説サイトです。
分かりやすい口語訳の解説に歌枕や歌碑などの写真なども添えて、初心者の方はもちろん多くの万葉集愛好家の方に楽しんでいただきたく思います。
(解説:黒路よしひろ)
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八百日(やほか)行く浜(はま)の沙(まさご)もわが恋にあに益(まさ)らじか沖(おき)つ島守(しまもり)
巻四(五九六)
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何日もかかっていくほどの長い浜の砂の数でも私の恋心に勝ることはないでしょう。遠い沖から見ている番人さま。
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この歌も巻四(五八七)などの歌と同じく、笠女郎(かさのいらつめ)が大伴家持(おほとものやかもち)に贈った二十四首の相聞歌の一首。
「どんなに長い浜のたくさんの砂の数でも私の恋心の量に勝ることはないでしょう」との、自身の恋心の激しさを浜の砂の数にも負けないと譬えているわけですね。
「沖の島守」は「遠くの沖で見ている島の番人」のことですが、これはおそらく遠くで笠女郎の恋心を眺めるだけの家持に対する揶揄なのではないでしょうか。
ただ、それでもこの頃の笠女郎には家持への恋に苦しみながらもまだ思いが成就することを心の片隅で信じているようなそんな様子が歌から伺えますね。
あるいは、家持が逢いに来てくれないのは人目を忍んでいるからなのでは?ぐらいに思っていたのでしょうか。
まあ、今も昔も変わらず、人間とはつねに自分にとって都合の良いように解釈してしまう生き物なのでしょう。
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万葉集巻四
万葉集書籍紹介(参考書籍)
万葉集(1)〜〜(4)&別冊万葉集辞典 中西進 (講談社文庫) 定価620円〜〜1020円(税込み)
県立万葉文化舘名誉館長でもある中西進さんによる万葉集全四冊&別冊万葉集辞典です。
万葉集のほうは原文、読み下し訳、現代語訳、解説文が付けられていて、非常に参考になりこの4冊で一応、万葉集としては充分な内容になっています。
他の万葉集などでは読み下し訳のみで現代語訳がなかったりと、初心者の方には難しすぎる場合が多いですが、この万葉集ではそのようなこともありません。
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