万葉集入門
万葉集入門
日本最古の和歌集「万葉集」の解説サイトです。
分かりやすい口語訳の解説に歌枕や歌碑などの写真なども添えて、初心者の方はもちろん多くの万葉集愛好家の方に楽しんでいただきたく思います。
(解説:黒路よしひろ)

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朝霧(ぎり)のおほに相見し人ゆゑに命(いのち)死ぬべく恋ひわたるかも

巻四(五九九)
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朝霧のようにおぼろにしかお逢いしていないので命も絶えそうなほどに恋しく思いながら過ごしています。
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この歌も巻四(五八七)などの歌と同じく、笠女郎(かさのいらつめ)が大伴家持(おほとものやかもち)に贈った二十四首の相聞歌のうちのひとつ。
家持と共に過ごしたかつての逢瀬を思い出し、「朝霧が立って目の前のはっきりとしないようなおぼろな逢瀬のために、その後を命が絶えそうなほど恋しくあなたを思い過ごしています。」と、訴えているわけですね。
そんなかつてのおぼろな逢瀬のためにここまで家持を恋つづけるというのもちょっと不思議な気がしますが、恋とはきっと何時の世も当人にもよくはわからない不思議な感情なのでしょう。


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万葉集巻四の他の歌はこちらから。
万葉集巻四


万葉集書籍紹介(参考書籍)
万葉集(1)〜〜(4)&別冊万葉集辞典 中西進 (講談社文庫) 定価620円〜〜1020円(税込み)
県立万葉文化舘名誉館長でもある中西進さんによる万葉集全四冊&別冊万葉集辞典です。
万葉集のほうは原文、読み下し訳、現代語訳、解説文が付けられていて、非常に参考になりこの4冊で一応、万葉集としては充分な内容になっています。
他の万葉集などでは読み下し訳のみで現代語訳がなかったりと、初心者の方には難しすぎる場合が多いですが、この万葉集ではそのようなこともありません。

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