万葉集入門
万葉集入門
日本最古の和歌集「万葉集」の解説サイトです。
分かりやすい口語訳の解説に歌枕や歌碑などの写真なども添えて、初心者の方はもちろん多くの万葉集愛好家の方に楽しんでいただきたく思います。
(解説:黒路よしひろ)

スポンサード リンク


剣太刀(つるぎたち)身に取り副(そ)ふと夢(いめ)に見つ何如(いか)なる怪(け)そも君に相(あ)はせむ

巻四(六〇四)
----------------------------------------------
剣太刀を私の身に付ける夢を見ました。どのような意味なのか君によせて夢合わせしましょう。
----------------------------------------------

この歌も巻四(五八七)などの歌と同じく、笠女郎(かさのいらつめ)が大伴家持(おほとものやかもち)に贈った二十四首の相聞歌のうちの一首。
「夢合わせ」は夢を考え合わせて吉凶を占うこと。
本来女性のつけるものではない剣太刀を身に付ける夢を見た笠女郎が「この不思議な夢がどのような意味を持つのか夢合わせしましょう」と詠っているわけですが、「君に合はせむ」と家持を対象にしている時点で占うまでもなく共寝を羨望する求愛の歌であることは明白ですね。

つまりは剣太刀を武門の名門である大伴家の家持と捉えて、身に付けるように共に寝たいとの意味なのでしょう。

この時代、夢は現実と強く結びついていて、現実の生活に大きく影響を与える力を持っていると信じられていました。
笠女郎も夢の中で男の象徴である剣太刀を身に付けたことで、また家持と共に過ごせる夜の来ることを信じたのでしょうね。

恋の苦しみの中でそんなささやかな希望を得た喜びを感じさせてくれる一首のように思います。


スポンサード リンク


関連記事
万葉集巻四の他の歌はこちらから。
万葉集巻四


万葉集書籍紹介(参考書籍)
万葉集(1)〜〜(4)&別冊万葉集辞典 中西進 (講談社文庫) 定価620円〜〜1020円(税込み)
県立万葉文化舘名誉館長でもある中西進さんによる万葉集全四冊&別冊万葉集辞典です。
万葉集のほうは原文、読み下し訳、現代語訳、解説文が付けられていて、非常に参考になりこの4冊で一応、万葉集としては充分な内容になっています。
他の万葉集などでは読み下し訳のみで現代語訳がなかったりと、初心者の方には難しすぎる場合が多いですが、この万葉集ではそのようなこともありません。

万葉集入門(トップページ)へ戻る

当サイトはリンクフリーです、どうぞご自由に。
Copyright(c) 2015 Yoshihiro Kuromichi (plabotnoitanji@yahoo.co.jp)


スポンサード リンク


欲しいと思ったらすぐ買える!楽天市場は24時間営業中

Amazon.co.jp - 通販