万葉集入門
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日本最古の和歌集「万葉集」の解説サイトです。
分かりやすい口語訳の解説に歌枕や歌碑などの写真なども添えて、初心者の方はもちろん多くの万葉集愛好家の方に楽しんでいただきたく思います。
(解説:黒路よしひろ)

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われも思ふ人もな忘れおほなわに浦吹く風の止(や)む時なかれ

巻四(六〇六)
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私も一途に思います。あなたも忘れたりしないでくださいね。浦を吹く風の止む時が無いように。
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この歌も巻四(五八七)などの歌と同じく、笠女郎(かさのいらつめ)が大伴家持(おほとものやかもち)に贈った二十四首の相聞歌のうちのひとつ。
「私もあなたのことを愛し続けますから、あなたも私のことを忘れたりしないでくださいね。浦を吹く風の止む時が無いように…」との、笠女郎らしいなんとも盲目的な恋心の一首ですよね。
ここまで一方的に愛情を示されると現代人の感覚ではちょっと重い気もしないではないかと思います(実際、家持も笠女郎の気持ちを重く感じていたようですし^^;)が、この時代は一途に相手を愛することは美徳なこととされていたので一概に笠女郎の恋を一方的と責めることも出来ないと思います。

なによりも家持自身が一度は笠女郎と関係を持っていたわけですし、その時の愛情を貫き通そうとした笠女郎の思いは彼女にとっては至極当然のことだったのでしょう。

ただ、人の心は移り変わるものであり、一途な愛情が必ずしも報われないこともまた時代を超えた一方の真理でもあります。

笠女郎の一途な思いも結局は報われることなく、悲しい結末を迎えてしまうのです。


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万葉集巻四


万葉集書籍紹介(参考書籍)
万葉集(1)〜〜(4)&別冊万葉集辞典 中西進 (講談社文庫) 定価620円〜〜1020円(税込み)
県立万葉文化舘名誉館長でもある中西進さんによる万葉集全四冊&別冊万葉集辞典です。
万葉集のほうは原文、読み下し訳、現代語訳、解説文が付けられていて、非常に参考になりこの4冊で一応、万葉集としては充分な内容になっています。
他の万葉集などでは読み下し訳のみで現代語訳がなかったりと、初心者の方には難しすぎる場合が多いですが、この万葉集ではそのようなこともありません。

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