万葉集入門
日本最古の和歌集「万葉集」の解説サイトです。
分かりやすい口語訳の解説に歌枕や歌碑などの写真なども添えて、初心者の方はもちろん多くの万葉集愛好家の方に楽しんでいただきたく思います。
(解説:黒路よしひろ)
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相思(あひおも)はぬ人をやもとな白栲(しろたへ)の袖(そで)ひづまでにねのみし泣くも
巻四(六一四)
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愛し合ってもくれない人を慕って白栲の袖が濡れるまで泣きつくすのでしょうか…
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この歌も先の巻四(六一三)の歌と同じく、山口女王(やまぐちのおほきみ)が大伴宿禰家持(おほとものすくねやかもち)に贈った五首の恋歌の内のひとつ。
「愛し合ってもくれない人を慕って白栲の袖が濡れるまで泣きつくすのでしょうか…」との家持への切ない片恋の思いが詠われていますね。
これほど熱烈に家持を慕った山口女王ですが、笠女郎のときと同じく家持のほうはあまり山口女王にこころを引かれなかったのか、これらの歌への返歌なども万葉集には収録されていません。
山口女王にとってはまさに「相思はぬ人(愛し合ってもくれない人)」といった感じだったのでしょうね。
まあ、それでもいつかは心を動かしてくれるかも知れないと儚い思いを抱いてしまうのも、いつの世も変わらない恋する女性の女心というものなのでしょう。
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万葉集巻四
万葉集書籍紹介(参考書籍)
万葉集(1)〜〜(4)&別冊万葉集辞典 中西進 (講談社文庫) 定価637円〜〜1101円(税込み参考価格)
県立万葉文化舘名誉館長でもある中西進さんによる万葉集全四冊&別冊万葉集辞典です。
万葉集のほうは原文、読み下し訳、現代語訳、解説文が付けられていて、非常に参考になりこの4冊で一応、万葉集としては充分な内容になっています。
他の万葉集などでは読み下し訳のみで現代語訳がなかったりと、初心者の方には難しすぎる場合が多いですが、この万葉集ではそのようなこともありません。
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