万葉集入門
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日本最古の和歌集「万葉集」の解説サイトです。
分かりやすい口語訳の解説に歌枕や歌碑などの写真なども添えて、初心者の方はもちろん多くの万葉集愛好家の方に楽しんでいただきたく思います。
(解説:黒路よしひろ)

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葦辺(あしへ)より満ち来(く)る潮(しほ)のいやましに思(おほ)へか君が忘れかねつる

巻四(六一七)
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葦のほとりに満ちて来る潮のように、ますます募って来る恋しさであなたのことが忘れられません。
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この歌も巻四(六一三)の歌などと同じく、山口女王(やまぐちのおほきみ)が大伴宿禰家持(おほとものすくねやかもち)に贈った五首の恋歌の内のひとつ。
「葦(あし)」は「よし」ともいい、岸辺や干潟などの水辺に生える多年草のこと。
そんな「葦のほとりに満ちて来る潮のように、ますます募って来る恋しさであなたのことが忘れられません。」と、干潟の葦のほとりに満ちて来る潮に家持を慕う恋心を譬えて詠っています。

家持に自分を思う気持ちがないとわかってはいても、胸の奥から湧き上って来る恋心だけはどうしようもなかったのでしょうね。
きっと山口女王はつぎつぎに増してくる家持への恋心の苦しさに、実際に溺れそうなほどの心情だったのでしょう。

以上、山口女王が大伴家持に贈った五首の恋歌でした。


葦辺。


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万葉集巻四


万葉集書籍紹介(参考書籍)
万葉集(1)〜〜(4)&別冊万葉集辞典 中西進 (講談社文庫) 定価637円〜〜1101円(税込み参考価格)
県立万葉文化舘名誉館長でもある中西進さんによる万葉集全四冊&別冊万葉集辞典です。
万葉集のほうは原文、読み下し訳、現代語訳、解説文が付けられていて、非常に参考になりこの4冊で一応、万葉集としては充分な内容になっています。
他の万葉集などでは読み下し訳のみで現代語訳がなかったりと、初心者の方には難しすぎる場合が多いですが、この万葉集ではそのようなこともありません。

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