万葉集入門
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日本最古の和歌集「万葉集」の解説サイトです。
分かりやすい口語訳の解説に歌枕や歌碑などの写真なども添えて、初心者の方はもちろん多くの万葉集愛好家の方に楽しんでいただきたく思います。
(解説:黒路よしひろ)

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娘子(をとめ)の報(こた)へたる歌二首

ここだくも思ひけめかも敷栲(しきたへ)の枕片去(かたさ)る夢(いめ)に見えける

巻四(六三三)
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ひどく恋焦がれているからでしょうか。敷栲の枕を片寄せた床にあなたの夢を見ました。
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この歌は湯原王(ゆはらのおほきみ)が旅先で出会った娘子(をとめ)に贈った巻四(六三一)の歌などに、娘子が答えて詠んだ二首の恋歌の内のひとつ。
この娘子は湯原王の作りだした実在しない架空の人物である可能性も高いですが、ここでは一応、娘子本人が詠んだ歌として解説しておきますね。

巻四(六三一)などの湯原王の歌では湯原王を家に泊めることもせず還した娘子でしたが、こちらでは一転して娘子のほうが湯原王に恋焦がれる内容となっています。
あるいは湯原王がなんども口説きに通う内に娘子のほうも心を許し始めたということでしょうか。

「枕を片寄せた」とは、相手のために枕を片側に寄せておくこと。
ここからも娘子が湯原王の存在を受け入れ始めたことが読み取れますね。

この時代では相手が夢に現れるのは普通は相手が自分のことを深く思ってくれている結果なのですが、この時点ではまだ湯原王の愛情がどれほどのものなのか確証がないためにあえて自身が恋焦がれた結果なのかとの疑問の表現になったのかも。
そんな枕を片側に寄せた床で湯原王の夢を見たことで、自身の湯原王への気持ちにあらためて気づかされた娘子だったのでしょう。

娘子の湯原王への恋歌がさらに続きます。


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万葉集巻四


万葉集書籍紹介(参考書籍)
万葉集(1)〜〜(4)&別冊万葉集辞典 中西進 (講談社文庫) 定価637円〜〜1101円(税込み参考価格)
県立万葉文化舘名誉館長でもある中西進さんによる万葉集全四冊&別冊万葉集辞典です。
万葉集のほうは原文、読み下し訳、現代語訳、解説文が付けられていて、非常に参考になりこの4冊で一応、万葉集としては充分な内容になっています。
他の万葉集などでは読み下し訳のみで現代語訳がなかったりと、初心者の方には難しすぎる場合が多いですが、この万葉集ではそのようなこともありません。

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