万葉集入門
日本最古の和歌集「万葉集」の解説サイトです。
分かりやすい口語訳の解説に歌枕や歌碑などの写真なども添えて、初心者の方はもちろん多くの万葉集愛好家の方に楽しんでいただきたく思います。
(解説:黒路よしひろ)
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湯原王のまた贈れる歌一首
ただ一夜隔(ひとよへだ)てしからにあらたまの月か経(へ)ぬると心いぶせし
巻四(六三八)
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たった一夜逢えなかっただけなのにまるでひと月も経ったかのように心が曇ります
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この歌も湯原王(ゆはらのおほきみ)が旅先で出会った娘子(をとめ)に贈った巻四(六三一)の歌からつづく一連の相聞歌の内のひとつ。
「たった一夜逢えなかっただけなのにまるでひと月も経ったかのように心が曇ります」と、娘子と一夜逢えなかっただけでもつらくて堪えられないとの心情を詠っています。
「あらための」は「月」や「年」にかかる枕詞。
たしかに恋に夢中になっているときの相手と逢えない時間というのは、無限の長さのように感じられたりするものですよね。
逆に一緒にいる時間はどんなに長い時間でも一瞬で過ぎてゆくような短さを感じたりもするものです。
そんな恋の最中にいる男の心情を詠って、この歌もまた素敵な一首に仕上がっているように思います。
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万葉集巻四
万葉集書籍紹介(参考書籍)
万葉集(1)〜〜(4)&別冊万葉集辞典 中西進 (講談社文庫) 定価637円〜〜1101円(税込み参考価格)
県立万葉文化舘名誉館長でもある中西進さんによる万葉集全四冊&別冊万葉集辞典です。
万葉集のほうは原文、読み下し訳、現代語訳、解説文が付けられていて、非常に参考になりこの4冊で一応、万葉集としては充分な内容になっています。
他の万葉集などでは読み下し訳のみで現代語訳がなかったりと、初心者の方には難しすぎる場合が多いですが、この万葉集ではそのようなこともありません。
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