万葉集入門
日本最古の和歌集「万葉集」の解説サイトです。
分かりやすい口語訳の解説に歌枕や歌碑などの写真なども添えて、初心者の方はもちろん多くの万葉集愛好家の方に楽しんでいただきたく思います。
(解説:黒路よしひろ)
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恋ひ恋ひて逢(あ)ひたるものを月しあれば夜(よ)は隠(こも)るらむしましはあり待て
右、大伴坂上郎女の母石川内命婦(うちのみやうぶ)と、安倍朝臣虫満(むしまろ)の母安曇外命婦(あづみのげのみやうぶ)とは、同居の姉妹にして、同気(どうき)の親(したしみ)あり。これによりて郎女と虫満と、相見ること疎(うと)からず、相談(あひかたら)ふこと既に密(こまか)なり。聊(いささ)か戯(たはふ)れの歌を作りて問答(もんだふ)をなせり。
巻四(六六七)
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恋いつづけてようやく逢えたというのに…まだ月もあれば夜も深いでしょう。もうしばらくはここに居てください。
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この歌も先の巻四(六六六)の歌と同じく、大伴坂上郎女(おほとものさかのうへのいらつめ)の詠んだ二首の歌のひとつで、安倍朝臣虫麿(あべのあそみむしまろ)の詠んだ巻四(六六五)の歌への返歌。
「恋いつづけてようやく逢えたというのに…まだ月もあれば夜も深いでしょう。もうしばらくはここに居てください。」との、こちらの歌も男の帰宅を引きとめる内容ですね。
この時代、恋とはまさに秘め事で、男は日が暮れたころに誰にも見られないように女の家にやってきて、朝日が登る前に帰ってゆくのが礼儀でした。
ですので、「まだ月もあり夜の深いうちはもう少しだけここに居てください」と坂上郎女は女性の立場で甘えたわけですね。
坂上郎女と安倍虫麿の交わしたこれらの歌はどれも従姉弟の戯れの恋歌ですが、それゆえにそこから当時の典型的な男女の恋のやり取りが見て取れる面白い歌のようにも思います。
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万葉集巻四
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県立万葉文化舘名誉館長でもある中西進さんによる万葉集全四冊&別冊万葉集辞典です。
万葉集のほうは原文、読み下し訳、現代語訳、解説文が付けられていて、非常に参考になりこの4冊で一応、万葉集としては充分な内容になっています。
他の万葉集などでは読み下し訳のみで現代語訳がなかったりと、初心者の方には難しすぎる場合が多いですが、この万葉集ではそのようなこともありません。
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