万葉集入門
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日本最古の和歌集「万葉集」の解説サイトです。
分かりやすい口語訳の解説に歌枕や歌碑などの写真なども添えて、初心者の方はもちろん多くの万葉集愛好家の方に楽しんでいただきたく思います。
(解説:黒路よしひろ)

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否(いな)と言はば強(し)ひめやわが背菅(せすが)の根の思ひ乱れて恋ひつつもあらむ

巻四(六七九)
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嫌だと言われるのなら無理強いはしませんわたしの愛しい人。菅の根のように長く思い乱れて恋つづけるだけです…
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この歌も巻四(六七五)などの歌と同じく、中臣女郎(なかとみのいらつめ)が大伴宿禰家持(やかもち)に贈った五首の恋歌のうちの一首。
「あなたが嫌だと言われるのなら無理強いはしません。わたしは菅の根のように長く思い乱れて恋つづけるだけです…」と、家持の心がたとえ自分に向いていなくても恋つづけていきますとの切ない思いがここでも詠われていますね。
上の句で無理強いしないとのしおらしさを見せている分、逆に下の句の積極性が強調されて中臣女郎の一途な思いがより強く伝わって来るようにも感じます。

ただ、これだけ一途な恋心を示して歌を贈ってくれた中臣女郎に対して、家持が贈ったとされる返歌は万葉集には集録されていません。
なにか集録できない事情があったのかは分かりませんが、もしくは最初から歌を贈り返すことすらしていなかったのかも知れませんね。
あるいはあまりにも熱烈に思いを寄せられたことで逆に家持の気持ちが醒めてしまったのかも…
いつの世も、人に恋する気持ちが必ず報われるとは限らないのが恋愛の哀しいところです。

以上、中臣女郎が家持に贈った五首の恋歌でした。


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万葉集巻四


万葉集書籍紹介(参考書籍)
万葉集(1)〜〜(4)&別冊万葉集辞典 中西進 (講談社文庫) 定価620円〜〜1020円(税込み)
県立万葉文化舘名誉館長でもある中西進さんによる万葉集全四冊&別冊万葉集辞典です。
万葉集のほうは原文、読み下し訳、現代語訳、解説文が付けられていて、非常に参考になりこの4冊で一応、万葉集としては充分な内容になっています。
他の万葉集などでは読み下し訳のみで現代語訳がなかったりと、初心者の方には難しすぎる場合が多いですが、この万葉集ではそのようなこともありません。

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