万葉集入門
日本最古の和歌集「万葉集」の解説サイトです。
分かりやすい口語訳の解説に歌枕や歌碑などの写真なども添えて、初心者の方はもちろん多くの万葉集愛好家の方に楽しんでいただきたく思います。
(解説:黒路よしひろ)
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このころは千歳(ちとせ)や往(ゆ)きも過ぎぬるとわれやしか思(も)ふ見まく欲(ほ)りかも
巻四(六八六)
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この頃は千年も経ってしまったかと私だけが思うのでしょうか。あなたにお逢いしたいものです。
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この歌も巻四(六八三)の歌などと同じく、大伴坂上郎女(おほとものさかのうへのいらつめ)が詠んだ七首の恋歌のうちのひとつ。
「この頃は千年も経ってしまったかと私だけが思うのでしょうか。あなたにお逢いしたいものです。」と、この歌もまた想い人と逢えない時間が千年にも長く感じられるとの切ない恋心が詠われています。
恋人といる楽しい時間が一瞬のように短く感じられ、離れ離れでいる時間が千年のように長く感じられるというのは、現在を生きるわれわれにも十分に共感できる思いですよね。
ましてや現在人よりも平均寿命の短かった万葉人にとっては、恋人と一緒にいられる一瞬一瞬の時間がどうしようもなく貴重なものに感じられていたことでしょう。
「逢えない時間が千年にも感じられる」とは、そんな短い人生を少しの間でも愛しい人と共に過ごしたいとの切ない思いの裏返しなのです。
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万葉集巻四
万葉集書籍紹介(参考書籍)
万葉集(1)〜〜(4)&別冊万葉集辞典 中西進 (講談社文庫) 定価637円〜〜1101円(税込み参考価格)
県立万葉文化舘名誉館長でもある中西進さんによる万葉集全四冊&別冊万葉集辞典です。
万葉集のほうは原文、読み下し訳、現代語訳、解説文が付けられていて、非常に参考になりこの4冊で一応、万葉集としては充分な内容になっています。
他の万葉集などでは読み下し訳のみで現代語訳がなかったりと、初心者の方には難しすぎる場合が多いですが、この万葉集ではそのようなこともありません。
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