万葉集入門
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日本最古の和歌集「万葉集」の解説サイトです。
分かりやすい口語訳の解説に歌枕や歌碑などの写真なども添えて、初心者の方はもちろん多くの万葉集愛好家の方に楽しんでいただきたく思います。
(解説:黒路よしひろ)

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青山(あをやま)を横切る雲の著(いちし)ろくわれと咲(ゑ)まして人に知らゆな

巻四(六八八)
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青々とした山を横切る白雲のようにはっきりと私に笑いかけて人に知られないでくださいね。
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この歌も巻四(六八三)の歌などと同じく、大伴坂上郎女(おほとものさかのうへのいらつめ)が詠んだ七首の恋歌のうちのひとつ。
「青山を横切る雲」は、「はっきりとしたもの」の譬えとして使われています。
たしかに、山にかかった白い雲はよく目立ちますよね。
そんな「青々とした山を横切る白雲のように私に笑いかけて人に知られないでくださいね。」との、二人だけの秘めた恋を詠って素敵な一首となっています。

この時代の人々にとって恋愛はまさに「秘め事」であり、自分たちの名前が人々の恋の噂として上がることは軽薄なこととして非常に嫌っていました。
「人に知らゆな(人に知られないでくださいね。)」との下の句には、そんな心情が表れているわけですね。
同時に、周りに気づかれないように自分に対して笑いかけてほしいとの切ない恋心も秘められた一首でもあるのでしょう。


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万葉集巻四


万葉集書籍紹介(参考書籍)
万葉集(1)〜〜(4)&別冊万葉集辞典 中西進 (講談社文庫) 定価637円〜〜1101円(税込み参考価格)
県立万葉文化舘名誉館長でもある中西進さんによる万葉集全四冊&別冊万葉集辞典です。
万葉集のほうは原文、読み下し訳、現代語訳、解説文が付けられていて、非常に参考になりこの4冊で一応、万葉集としては充分な内容になっています。
他の万葉集などでは読み下し訳のみで現代語訳がなかったりと、初心者の方には難しすぎる場合が多いですが、この万葉集ではそのようなこともありません。

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