万葉集入門
日本最古の和歌集「万葉集」の解説サイトです。
分かりやすい口語訳の解説に歌枕や歌碑などの写真なども添えて、初心者の方はもちろん多くの万葉集愛好家の方に楽しんでいただきたく思います。
(解説:黒路よしひろ)
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照らす日を闇に見なして泣く涙衣濡(ころもぬ)らしつ干(ほ)す人無しに
巻四(六九〇)
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照る日でさえも闇と見て泣く涙に私は衣を濡らしました。干してくれる人も無くて…
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この歌も巻四(六八三)の歌などと同じく、大伴坂上郎女(おほとものさかのうへのいらつめ)が詠んだ七首の恋歌のうちのひとつ。
「干す人」は当然この場合は相手の男性のことです。
「照る日でさえも闇と見て泣く涙に私は衣を濡らしました。干してくれる人も無くて…」と、想い人と逢えない日々の悲しさを闇と表現して詠った一首なわけですね。
たしかに、どんなに日が照っていても愛する人と逢えない女性の身には世界は闇のように感じられるものなのでしょう。
そんな悲しみの涙にぬれた衣を干すことが出来るのは、この世界にたった一人しかいないのです。
以上、大伴坂上郎女が詠んだ七首の恋歌でした。
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万葉集巻四
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県立万葉文化舘名誉館長でもある中西進さんによる万葉集全四冊&別冊万葉集辞典です。
万葉集のほうは原文、読み下し訳、現代語訳、解説文が付けられていて、非常に参考になりこの4冊で一応、万葉集としては充分な内容になっています。
他の万葉集などでは読み下し訳のみで現代語訳がなかったりと、初心者の方には難しすぎる場合が多いですが、この万葉集ではそのようなこともありません。
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