万葉集入門
日本最古の和歌集「万葉集」の解説サイトです。
分かりやすい口語訳の解説に歌枕や歌碑などの写真なども添えて、初心者の方はもちろん多くの万葉集愛好家の方に楽しんでいただきたく思います。
(解説:黒路よしひろ)
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ぬばたまのその夜の月夜今日(つくよけふ)までにわれは忘れず間(ま)なくし思(おも)へば
巻四(七〇二)
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暗闇のあの夜の月を今もわたしは忘れることが出来ません。絶え間なくあなたのことをお慕いしていますから…
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この歌も先の巻四(七〇一)の歌と同じく、河内百枝娘子(かふちのももえのをとめ)が大伴宿禰家持(おほとものすくねやかもち)に贈った二首の恋歌のうちのひとつ。
「暗闇のあの夜の月を今もわたしは忘れることが出来ません。絶え間なくあなたのことをお慕いしていますから…」と、家持と共に見た夜の月を決して忘れないとの愛おしい思いを詠った一首となっています。
この歌ももちろん実際の恋心を詠ったものである可能性もありますが、あるいは難波の大伴の領地を訪れていた家持が都へ帰ってゆく際の宴の席などで馴染みの遊女である河内百枝娘子によって詠まれた送別歌かとも思えます。
実際に恋心があったにせよなかったにせよ、少しの間とはいえ同じ時間を共有した者同士の別れはやはり辛く寂しいものがあったのでしょうね。
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万葉集巻四
万葉集書籍紹介(参考書籍)
万葉集(1)〜〜(4)&別冊万葉集辞典 中西進 (講談社文庫) 定価637円〜〜1101円(税込み参考価格)
県立万葉文化舘名誉館長でもある中西進さんによる万葉集全四冊&別冊万葉集辞典です。
万葉集のほうは原文、読み下し訳、現代語訳、解説文が付けられていて、非常に参考になりこの4冊で一応、万葉集としては充分な内容になっています。
他の万葉集などでは読み下し訳のみで現代語訳がなかったりと、初心者の方には難しすぎる場合が多いですが、この万葉集ではそのようなこともありません。
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