万葉集入門
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日本最古の和歌集「万葉集」の解説サイトです。
分かりやすい口語訳の解説に歌枕や歌碑などの写真なども添えて、初心者の方はもちろん多くの万葉集愛好家の方に楽しんでいただきたく思います。
(解説:黒路よしひろ)

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味酒(うまさけ)三輪(みは)の祝(はふり)がいはふ杉手触(てふ)れし罪(つみ)か君に逢ひがたき

巻四(七一二)
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味酒の三輪の神官が奉る神杉にふれるようなことをした罰でしょうか。なかなかあなたに逢うことが出来ません。
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この歌も先の巻四(七一一)の歌と同じく、丹波大女娘子(たにはのおほめのをとめ)の詠んだ三首の恋歌のうちのひとつ。
「祝(はふり)」は、神主、禰宜(ねぎ)に次ぐ身分の神官。
「味酒(うまさけ)」は三輪にかかる枕詞で、「味酒三輪」はこの場合は奈良の三輪山と、三輪山を奉る大神神社のこと。

そんな「味酒の三輪の神官が奉る神杉にふれるようなことをした罰でしょうか。なかなかあなたに逢うことが出来ません。」と、愛しい人に逢えずにいるのは三輪の神杉に触れるような罪を犯したからであろうかと嘆いています。
ちなみにこの場合の「神杉に触れるかのような」は譬えであり実際に三輪の神杉に触れたわけではなく、「神杉に触れるかのような」ことをしたとの意味ですね。
あるいは神のような高貴な身分の相手への恋であったのでしょうか。

この歌についても誰を念頭に置いて詠まれた歌であるのかなど詳しいことはなにもわかりませんが、それゆえに様々な想像が広がって詠み手を惹きつける一首ですよね。


奈良県桜井市三輪の大神神社にある神杉。


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万葉集巻四


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万葉集(1)〜〜(4)&別冊万葉集辞典 中西進 (講談社文庫) 定価637円〜〜1101円(税込み参考価格)
県立万葉文化舘名誉館長でもある中西進さんによる万葉集全四冊&別冊万葉集辞典です。
万葉集のほうは原文、読み下し訳、現代語訳、解説文が付けられていて、非常に参考になりこの4冊で一応、万葉集としては充分な内容になっています。
他の万葉集などでは読み下し訳のみで現代語訳がなかったりと、初心者の方には難しすぎる場合が多いですが、この万葉集ではそのようなこともありません。

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