万葉集入門
万葉集入門
日本最古の和歌集「万葉集」の解説サイトです。
分かりやすい口語訳の解説に歌枕や歌碑などの写真なども添えて、初心者の方はもちろん多くの万葉集愛好家の方に楽しんでいただきたく思います。
(解説:黒路よしひろ)

スポンサード リンク


垣穂(かきほ)なす人言(ひとごと)聞きてわが背子が情(こころ)たゆたひ逢はぬこのころ

巻四(七一三)
-----------------------------------------------
周りをかこむ垣のような人々の噂を聞いて私の愛しい人はこころがためらってしまわれたのでしょう。逢えないこの頃です。
-----------------------------------------------

この歌も巻四(七一一)の歌などと同じく、丹波大女娘子(たにはのおほめのをとめ)の詠んだ三首の恋歌のうちのひとつ。
「垣穂」は周囲を取り囲む垣のことで、この場合は人々の立てる噂に取り囲まれる意味。
そんな「周りをかこむ垣のような人々の噂を聞いて私の愛しい人はこころがためらってしまわれたのでしょう。逢えないこの頃です。」と、恋の噂が立ってしまって愛しい人との逢瀬が遠のいている寂しさを詠った一首となっています。

この時代の人々は、自分の名前が恋の浮名として人々の噂になることを非常に嫌っていました。
それゆえに逢瀬も陽が沈んだ後に男が女の家に通い、日が昇って明るくなる前に帰ってゆくというまさに人目を避けた「秘め事」だったわけですね。
にもかかわらず、どこで知られるのか巷では常に男女の恋の噂が絶えなかったようです。

丹波大女娘子たちの恋もまた、そんな人々の噂のひとつになっていたのでしょう。


スポンサード リンク


関連記事
万葉集巻四の他の歌はこちらから。
万葉集巻四


万葉集書籍紹介(参考書籍)
万葉集(1)〜〜(4)&別冊万葉集辞典 中西進 (講談社文庫) 定価637円〜〜1101円(税込み参考価格)
県立万葉文化舘名誉館長でもある中西進さんによる万葉集全四冊&別冊万葉集辞典です。
万葉集のほうは原文、読み下し訳、現代語訳、解説文が付けられていて、非常に参考になりこの4冊で一応、万葉集としては充分な内容になっています。
他の万葉集などでは読み下し訳のみで現代語訳がなかったりと、初心者の方には難しすぎる場合が多いですが、この万葉集ではそのようなこともありません。

万葉集入門(トップページ)へ戻る

当サイトはリンクフリーです、どうぞご自由に。
Copyright(c) 2015 Yoshihiro Kuromichi (plabotnoitanji@yahoo.co.jp)


スポンサード リンク


欲しいと思ったらすぐ買える!楽天市場は24時間営業中

Amazon.co.jp - 通販