万葉集入門
日本最古の和歌集「万葉集」の解説サイトです。
分かりやすい口語訳の解説に歌枕や歌碑などの写真なども添えて、初心者の方はもちろん多くの万葉集愛好家の方に楽しんでいただきたく思います。
(解説:黒路よしひろ)
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村肝(むらぎも)の情(こころ)くだけてかくばかりわが恋ふらくを知らずかあるらむ
巻四(七二〇)
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身体の内の心も砕けるほどにこれほどに私が恋しく思っているのをあなたは知らないのでしょうね。
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この歌も巻四(七一四)の歌などと同じく、大伴宿禰家持(おほとものすくねやかもち)が娘子(をとめ)に贈った七首の恋歌のうちのひとつ。
「村肝(むらぎも)の」は「情(こころ)」に懸る枕詞。
「身体の内の心も砕けるほどにこれほどに私が恋しく思っているのをあなたは知らないのでしょうね。」と、この歌もまた娘子への恋に苦しむ家持のこころの苦しさを訴えた一首となっています。
これほどまでに心を苦しめてこの娘子への恋の思いを訴えた家持でしたが、けっきょく娘子が家持の思いを受け入れることはなかったようです。
あるいはこの娘子は娘子で、家持以外の誰かに片恋してこころ苦しんでいたのかも知れませんね。
家持が片恋に焦がれた娘子と、家持に片恋して焦がれた多くの女性たち…
現代と同じく、こんなふうに万葉集の時代にも実ることなく終わった恋の実はきっとたくさんあったのでしょう。
以上、大伴家持が娘子に贈った七首の恋歌でした。
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万葉集巻四
万葉集書籍紹介(参考書籍)
万葉集(1)〜〜(4)&別冊万葉集辞典 中西進 (講談社文庫) 定価620円〜〜1020円(税込み)
県立万葉文化舘名誉館長でもある中西進さんによる万葉集全四冊&別冊万葉集辞典です。
万葉集のほうは原文、読み下し訳、現代語訳、解説文が付けられていて、非常に参考になりこの4冊で一応、万葉集としては充分な内容になっています。
他の万葉集などでは読み下し訳のみで現代語訳がなかったりと、初心者の方には難しすぎる場合が多いですが、この万葉集ではそのようなこともありません。
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