万葉集入門
日本最古の和歌集「万葉集」の解説サイトです。
分かりやすい口語訳の解説に歌枕や歌碑などの写真なども添えて、初心者の方はもちろん多くの万葉集愛好家の方に楽しんでいただきたく思います。
(解説:黒路よしひろ)
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大伴宿禰家持(おほとものすくねやかもち)の歌一首。
かくばかり恋ひつつあらずは石木(いはき)にもならましものを物思(ものも)はずして
巻四(七二二)
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こんなに恋に苦しむくらいなら石や木にでもなってしまいたいものです。物思いもしないで。
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この歌は大伴宿禰家持(おほとものすくねやかもち)の詠んだ恋歌。
題詞からは誰に対する思いを詠ったものかは分かりませんが、家持をこれほど恋の思いに苦しめた女性というとやはり巻四(七一四)の歌などを贈った娘子(をとめ)でしょうか。
「こんなに恋に苦しむくらいなら石や木にでもなってしまいたいものです。そうすれば物思いもしないですむのに…」との、恋に苦しむ心情を素直な表現で詠った一首ですよね。
恋は人を幸せな気持ちにさせてくれますが、それと同じぐらい苦しい思いを与えるものでもあります。
「こんなに苦しい思いをするぐらいなら、いっそ何も感じなくて済む石や木にでもなってしまいたい」との家持のこの思いは、現在人にも十分共感できるものですよね。
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万葉集巻四
万葉集書籍紹介(参考書籍)
万葉集(1)〜〜(4)&別冊万葉集辞典 中西進 (講談社文庫) 定価637円〜〜1101円(税込み参考価格)
県立万葉文化舘名誉館長でもある中西進さんによる万葉集全四冊&別冊万葉集辞典です。
万葉集のほうは原文、読み下し訳、現代語訳、解説文が付けられていて、非常に参考になりこの4冊で一応、万葉集としては充分な内容になっています。
他の万葉集などでは読み下し訳のみで現代語訳がなかったりと、初心者の方には難しすぎる場合が多いですが、この万葉集ではそのようなこともありません。
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