万葉集入門
日本最古の和歌集「万葉集」の解説サイトです。
分かりやすい口語訳の解説に歌枕や歌碑などの写真なども添えて、初心者の方はもちろん多くの万葉集愛好家の方に楽しんでいただきたく思います。
(解説:黒路よしひろ)
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また大伴宿禰家持の和(こた)へたる歌三首
今しはし名の惜(を)しけくもわれは無し妹(いも)によりては千(ち)たび立つとも
巻四(七三二)
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今はもう名を惜しいとは私は思いません。君のことで千度の浮名が立とうとも
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この歌は大伴宿禰家持(おほともすくねやかもち)が大伴坂上大嬢(おほとものさかのうへのおほをとめ)に贈った三首のうちの一首。
巻四(七二九)などの坂上大嬢歌の歌に答えた相聞歌となっており、この歌の内容としては巻四(七三一)で坂上大嬢が「私の恋の浮名はいくら立ってもかまいませんが、あなたの浮名が立つのは悔しくて仕方がありません。」と家持の恋の浮名が立ったことを悔しがったのに対して、家持が「今はもう名を惜しいとは私は思いません。君のことで千度の浮名が立とうとも」と受ける形になっています。
家持の名が浮名として立ったことを悲しむ大嬢を気遣った慰めの一首ではありますが、どんな武名よりも大嬢との恋のほうがはるかに大切だというのはきっと家持の心の底からの本心でもあったのでしょう。
これ以前に家持は最愛の妻を亡くすという悲しみを経験しており、その経験ゆえでしょうか。
ここに来て家持も人としての成熟を見せ始めたようなそんな印象を受ける一首です。
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万葉集巻四
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県立万葉文化舘名誉館長でもある中西進さんによる万葉集全四冊&別冊万葉集辞典です。
万葉集のほうは原文、読み下し訳、現代語訳、解説文が付けられていて、非常に参考になりこの4冊で一応、万葉集としては充分な内容になっています。
他の万葉集などでは読み下し訳のみで現代語訳がなかったりと、初心者の方には難しすぎる場合が多いですが、この万葉集ではそのようなこともありません。
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