万葉集入門
日本最古の和歌集「万葉集」の解説サイトです。
分かりやすい口語訳の解説に歌枕や歌碑などの写真なども添えて、初心者の方はもちろん多くの万葉集愛好家の方に楽しんでいただきたく思います。
(解説:黒路よしひろ)
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同じ坂上大嬢(おほをとめ)の家持に贈れる歌一首
春日山霞(かすがやまかすみ)たなびき情(こころ)ぐく照れる月夜(つくよ)に独(ひと)りかも寝(ね)む
巻四(七三五)
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春日山に霞がたなびき心くぐもる月夜に、私はひとりで眠ります。
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この歌は大伴坂上大嬢(おほとものさかのうへのおほをとめ)が大伴宿禰家持(おほともすくねやかもち)に贈った一首。
一応、独立した歌となっていますが、巻四(七二七)の歌あたりからつづく家持と大嬢の恋物語として読んで問題ないでしょう。
「情(こころ)ぐく」は「心がくぐもる」状態で、心が内にこもったぼんやりとした状態。
内容としてはひとり寝の寂しさを伝えて、遠回しに家持の来訪を望む気持ちを詠ったわけですね。
この歌も、女性としてのつつましさを前面に出しながらも、共寝を望む切ない女心を内に秘めた素敵な一首のように思います。
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万葉集巻四
万葉集書籍紹介(参考書籍)
万葉集(1)〜〜(4)&別冊万葉集辞典 中西進 (講談社文庫) 定価637円〜〜1101円(税込み参考価格)
県立万葉文化舘名誉館長でもある中西進さんによる万葉集全四冊&別冊万葉集辞典です。
万葉集のほうは原文、読み下し訳、現代語訳、解説文が付けられていて、非常に参考になりこの4冊で一応、万葉集としては充分な内容になっています。
他の万葉集などでは読み下し訳のみで現代語訳がなかったりと、初心者の方には難しすぎる場合が多いですが、この万葉集ではそのようなこともありません。
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