万葉集入門
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日本最古の和歌集「万葉集」の解説サイトです。
分かりやすい口語訳の解説に歌枕や歌碑などの写真なども添えて、初心者の方はもちろん多くの万葉集愛好家の方に楽しんでいただきたく思います。
(解説:黒路よしひろ)

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また家持の坂上大嬢に和へたる歌一首

月夜(つくよ)には門(かど)に出(い)で立ち夕占(ゆうけ)問ひ足卜(あうら)をそせし行かまくを欲(ほ)り

巻四(七三六)
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月夜には門の前に出て立ち、夕占を問い、足トをしたことです。君に逢いに行きたくて。
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この歌は大伴坂上大嬢(おほとものさかのうへのおほをとめ)が詠んだ先の巻四(七三五)の歌に大伴宿禰家持(おほともすくねやかもち)が答えた一首。
「夕占(ゆうけ)」は夕方に巷の人々の声を聞いて吉凶を判断する占い。
「足卜(あうら)」については詳細がはっきりしませんが、これも何らかの占いのことなのでしょう。

巻四(七三五)の歌で「春日山に霞がたなびき心くぐもる月夜に、私はひとりで眠ります。」と、ひとり寝の寂しさを訴えて家持の来訪を望んだ大嬢に対して、「月夜には門の前に出て立ち、夕占を問い、足トをしたことです。君に逢いに行きたくて。」と、家持もまた占いさえよい結果であったのなら大嬢に逢いに行きたかったのだという気持ちを伝えています。
まあ、「夕占(ゆうけ)」などを出したのは言い訳だったのかも知れませんが、家持もまた大嬢に逢いたいのだという気持ちは間違いなく真実だったのでしょうね。

頻繁には逢いに行けない言い訳をしながらも大嬢への愛情はしっかりと伝えている、そんななかなかに上手い返歌のように思います。


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万葉集巻四


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県立万葉文化舘名誉館長でもある中西進さんによる万葉集全四冊&別冊万葉集辞典です。
万葉集のほうは原文、読み下し訳、現代語訳、解説文が付けられていて、非常に参考になりこの4冊で一応、万葉集としては充分な内容になっています。
他の万葉集などでは読み下し訳のみで現代語訳がなかったりと、初心者の方には難しすぎる場合が多いですが、この万葉集ではそのようなこともありません。

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