万葉集入門
万葉集入門
日本最古の和歌集「万葉集」の解説サイトです。
分かりやすい口語訳の解説に歌枕や歌碑などの写真なども添えて、初心者の方はもちろん多くの万葉集愛好家の方に楽しんでいただきたく思います。
(解説:黒路よしひろ)

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いかならむ時にか妹(いも)を葎生(むぐらふ)のきたなき屋戸(やど)に入りいませなむ

右は、田村大嬢(たむらのおほをとめ)と坂上大嬢と、並(ならび)にこれ右大弁宿奈麿卿(うだいべんすくなまろのまへつきみ)の女(むすめ)なり。卿は田村の里に居(す)み、号(な)を田村大嬢と曰(い)へり。ただ、妹の坂上大嬢は、母、坂上の里に居む。仍(よ)りて坂上大嬢と曰へり。時に姉妹諮問(とぶら)ふに、歌を以(も)ちて贈答せり。

巻四(七五九)
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いつのことになるでしょう。あなたをこのむさくるしいわが家に迎え入れられるのは…
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この歌も巻四(七五六)の歌などと同じく、大伴田村大嬢(おほとものたむらのおほをとめ)が異母妹の大伴坂上大嬢(おほとものさかのうへのおほをとめ)に贈った四首の相聞歌のうちの一首。
「葎生(むぐらふ)」とは雑草の葎(むぐら)が生い茂った意味で、自分の家を謙遜して言ったもの。

そんな自分の家にいつになったらあなたを迎え入れられるのか…とこの歌もまた妹の坂上大嬢の訪問を待ち望んで詠んだ一首ですね。

田村大嬢の住む田村の里は現在の奈良市にある法華寺の南あたりと言われ、佐保にあったといわれる坂上大嬢の家とはそれほどには離れていませんでしたので頻繁にとまではいかなくとも実際には逢う機会はそれなりにあったはずです。
それでもさらに長い時間を多く逢いたいと願う、まるで恋人への思慕にも似た姉妹愛ですよね。


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万葉集巻四


万葉集書籍紹介(参考書籍)
万葉集(1)〜〜(4)&別冊万葉集辞典 中西進 (講談社文庫) 定価637円〜〜1101円(税込み参考価格)
県立万葉文化舘名誉館長でもある中西進さんによる万葉集全四冊&別冊万葉集辞典です。
万葉集のほうは原文、読み下し訳、現代語訳、解説文が付けられていて、非常に参考になりこの4冊で一応、万葉集としては充分な内容になっています。
他の万葉集などでは読み下し訳のみで現代語訳がなかったりと、初心者の方には難しすぎる場合が多いですが、この万葉集ではそのようなこともありません。

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