万葉集入門
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日本最古の和歌集「万葉集」の解説サイトです。
分かりやすい口語訳の解説に歌枕や歌碑などの写真なども添えて、初心者の方はもちろん多くの万葉集愛好家の方に楽しんでいただきたく思います。
(解説:黒路よしひろ)

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玉(たま)の緒(を)を沫緒(あわを)によりて結(むす)べらばありて後にもあはざらめやも

巻四(七六三)
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玉の緒と言われる命を水沫の緒で結ぶことが出来たなら、ずっと後の世にも逢えないこともないでしょう。
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この歌も先の巻四(七六二)の歌と同じく、紀女郎(きのいらつめ)が大伴宿禰家持(おほとものすくねやかもち)に贈った二首の相聞歌の内の一首。
「玉の緒」とは水泡で出来た玉を結んだ緒のことで、儚い命の譬え。
そんな儚い水泡の玉をさらに水沫の緒で結ぶと表現することで、儚さを強調しているわけですね。
つまりは老いた水泡のように儚い命をこの世に結び留めるなど不可能であると詠うことで、後の世に家持と恋人として逢うこともないだろうと言っているわけです。

この歌も、紀女郎が若い家持との間で交わした戯れの恋歌なわけですが、「玉の緒と言われる命を水沫の緒で結ぶことが出来たなら…」とは、あるいは自らの老いを感じ始めた紀女郎の真実の願望だったのかも知れませんね。


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万葉集巻四の他の歌はこちらから。
万葉集巻四


万葉集書籍紹介(参考書籍)
万葉集(1)〜〜(4)&別冊万葉集辞典 中西進 (講談社文庫) 定価637円〜〜1101円(税込み参考価格)
県立万葉文化舘名誉館長でもある中西進さんによる万葉集全四冊&別冊万葉集辞典です。
万葉集のほうは原文、読み下し訳、現代語訳、解説文が付けられていて、非常に参考になりこの4冊で一応、万葉集としては充分な内容になっています。
他の万葉集などでは読み下し訳のみで現代語訳がなかったりと、初心者の方には難しすぎる場合が多いですが、この万葉集ではそのようなこともありません。

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