万葉集入門
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日本最古の和歌集「万葉集」の解説サイトです。
分かりやすい口語訳の解説に歌枕や歌碑などの写真なども添えて、初心者の方はもちろん多くの万葉集愛好家の方に楽しんでいただきたく思います。
(解説:黒路よしひろ)

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藤原郎女(ふじはらのいらつめ)のこれを聞きて即ち和へたる歌一首

路遠(みちとほ)み来(こ)じとは知れるものからに然(しか)そ待つらむ君が目を欲(ほ)り

巻四(七六六)
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道が遠いので来ないとはわかっていてもやはり待っているでしょう、あなたに逢いたくて…
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この歌は久邇京(くにのみやこ)に居る大伴宿禰家持(おほとものすくねやかもち)が奈良の平城京に残っていた大伴坂上大嬢(おほとものさかのうへのおほをとめ)に詠んだ先の巻四(七六五)の歌を聞いて、藤原郎女(ふじはらのいらつめ)が即興で返した一首。

藤原郎女は藤原四兄弟である藤原麿(ふじはらのまろ)の娘で、母は大伴坂上郎女(おほとものさかのうへのいらつめ)ではないかと言われています。
坂上郎女は、はじめ穂積皇子(ほづみのみこ)の妻でしたが穂積皇子の死後、藤原麿の妻となりました。
しかし藤原麿も天然痘で早くに亡くなったため、その後、大伴宿禰宿奈麿(おほとものすくねすくなまろ)の妻となり坂上大嬢と二嬢の姉妹を生んでいます。
つまり藤原郎女が藤原麿と坂上郎女の間の娘なら、大嬢の異父姉ということになりますね。

そんな異父妹の大嬢を思って家持が「一重の山が隔てているけれど月夜の門に出で立ちあなたはきっと私を待っていることでしょう。」と詠んだ巻四(七六五)の歌を聞いて、「道が遠いので来ないとはわかっていてもやはり待っているでしょう、あなたに逢いたくて…」と答えた素敵な唱和歌ですよね。
藤原郎女は新興貴族の藤原一族であったとはいえ、母が大伴家の坂上郎女であったために家持とも親交が深かったのでしょう。

そんな異父妹と家持の恋を微笑ましく思う姉の愛情も感じられる一首のように思います。


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万葉集巻四


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県立万葉文化舘名誉館長でもある中西進さんによる万葉集全四冊&別冊万葉集辞典です。
万葉集のほうは原文、読み下し訳、現代語訳、解説文が付けられていて、非常に参考になりこの4冊で一応、万葉集としては充分な内容になっています。
他の万葉集などでは読み下し訳のみで現代語訳がなかったりと、初心者の方には難しすぎる場合が多いですが、この万葉集ではそのようなこともありません。

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