万葉集入門
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日本最古の和歌集「万葉集」の解説サイトです。
分かりやすい口語訳の解説に歌枕や歌碑などの写真なども添えて、初心者の方はもちろん多くの万葉集愛好家の方に楽しんでいただきたく思います。
(解説:黒路よしひろ)

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大伴宿禰家持の紀女郎(きのいらつめ)に報(こた)へ贈れる歌一首

ひさかたの雨の降る日をただ独(ひと)り山辺(やまへ)にをればいぶせかりけり

巻四(七六九)
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天高くから雨の降る日をただひとり山の近くに居るとこころも塞いでしまいます。
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この歌は大伴宿禰家持(おほとものすくねやかもち)が紀女郎(きのいらつめ)に答え贈った一首。
紀女郎は巻四(七六二)の歌でも紹介したように安貴王(あきのおほきみ)の妻(この頃にはすでに安貴王とは別れていたとの説もありますが)であり、家持と親しい交流があったようですね。
あるいは家持にとっては姉のような母のような、そんな温かさを感じさせてくれる存在であったのかも知れません。

この歌は題詞に「報(こた)へ」とあることから紀女郎が家持に贈った歌の返歌だと思われますが、先に贈ったであろう紀女郎の歌は万葉集には集録されていません。
ただ、「山辺に」とあるのはこのころ家持が新都の久邇京に居たことを示しており、おそらくは奈良の平城京の紀女郎からなんらかの歌の便りをもらったのでしょう。
そんな紀女郎に対して「天高くから雨の降る日をただひとり山の近くに居るとこころも塞いでしまいます。」と、まだ都の造営も進まぬ久邇京でひとりいる寂しさを伝えています。

「ひとり」とは紀女郎が側にいないとの意味であり、家持と紀女郎のお互いを思いやる気持ちを感じさせてくれる素敵な相聞歌となっていますね。


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万葉集巻四


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万葉集(1)〜〜(4)&別冊万葉集辞典 中西進 (講談社文庫) 定価637円〜〜1101円(税込み参考価格)
県立万葉文化舘名誉館長でもある中西進さんによる万葉集全四冊&別冊万葉集辞典です。
万葉集のほうは原文、読み下し訳、現代語訳、解説文が付けられていて、非常に参考になりこの4冊で一応、万葉集としては充分な内容になっています。
他の万葉集などでは読み下し訳のみで現代語訳がなかったりと、初心者の方には難しすぎる場合が多いですが、この万葉集ではそのようなこともありません。

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