万葉集入門
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日本最古の和歌集「万葉集」の解説サイトです。
分かりやすい口語訳の解説に歌枕や歌碑などの写真なども添えて、初心者の方はもちろん多くの万葉集愛好家の方に楽しんでいただきたく思います。
(解説:黒路よしひろ)

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夢(いめ)にだに見えむとわれは保杼毛友(ほどもとも)逢はずし思へば諾(うべ)見えずあらむ

巻四(七七二)
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夢にだけでもあなたを見たいと私は保杼毛友、あなたが逢いたくないと思ってらっしゃるのなら見えなくて当然ですね。
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この歌も巻四(七七〇)の歌などと同じく久邇京(くにのみやこ)にいた大伴宿禰家持(おほとものすくねやかもち)が、奈良の平城京に残っていた大伴坂上大嬢(おほとものさかのうへのおほをとめ)に贈った五首の相聞歌の内のひとつ。
三句目の万葉仮名の「保杼毛友」の部分の読みが確定していないためにはっきりとした意味が分からない歌ですが、「夢にだけでもあなたを見たいと私は思っていても、あなたが逢いたくないと思ってらっしゃるのなら夢に逢えなくて当然ですね。」といった感じの内容であることはおおよその想像ができますね。

この頃、新都の久邇京と旧都の平城京で遠距離恋愛のような関係にあった家持と大嬢ですが、その距離のためか互いに心のすれ違いが生まれていたようです。
また、この時代の人々は夢に誰かが現れるのはその人が自分を深く思ってくれている証だと考えていました。
そのため、「夢でだけでも逢いたいと思ってもあなたが逢いたくないと思っていては逢えないのも当然ですね」との、この歌のような家持の思いになった訳ですね。

恋愛にはこのようなお互いに歯車のかみ合わなくなる時期というのが必ずあるのかも知れませんが、一度すれ違いの起こった心がもとに戻るにはしばらくの時間が必要なようです。


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万葉集巻四の他の歌はこちらから。
万葉集巻四


万葉集書籍紹介(参考書籍)
万葉集(1)〜〜(4)&別冊万葉集辞典 中西進 (講談社文庫) 定価637円〜〜1101円(税込み参考価格)
県立万葉文化舘名誉館長でもある中西進さんによる万葉集全四冊&別冊万葉集辞典です。
万葉集のほうは原文、読み下し訳、現代語訳、解説文が付けられていて、非常に参考になりこの4冊で一応、万葉集としては充分な内容になっています。
他の万葉集などでは読み下し訳のみで現代語訳がなかったりと、初心者の方には難しすぎる場合が多いですが、この万葉集ではそのようなこともありません。

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