万葉集入門
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日本最古の和歌集「万葉集」の解説サイトです。
分かりやすい口語訳の解説に歌枕や歌碑などの写真なども添えて、初心者の方はもちろん多くの万葉集愛好家の方に楽しんでいただきたく思います。
(解説:黒路よしひろ)

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百千(ももち)たび恋ふといふとも諸弟(もろと)らが練(ねり)のことばはわれは信(たの)まじ

巻四(七七四)
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百回でも千回でも恋しているという言葉を言ったとしても、諸弟らの巧みな言葉を私はもう頼みにはしません。
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この歌も巻四(七七〇)の歌などと同じく久邇京(くにのみやこ)にいた大伴宿禰家持(おほとものすくねやかもち)が、奈良の平城京に残っていた大伴坂上大嬢(おほとものさかのうへのおほをとめ)に贈った五首の相聞歌の内のひとつ。
先の巻四(七七三)の歌と同じくこちらも三句目の「諸弟(もろと)」の解釈が確定しておらず、この歌もなかなかに解釈の難しい一首となっています。

まあ、 巻四(七七三)の歌と同じく「諸弟」を大嬢を指す言葉と解釈するなら「百回でも千回でも恋しているという言葉を言ったとしても、あなたの巧みな言葉を私はもう頼みにはしません。」といった感じになり、大嬢の言葉と気持ちを信じられなくなった家持の迷いの歌と言ったところでしょうか。
おそらくは実際に逢って言葉を交わせばすぐに心のすれ違いを修正することも出来たのかも知れませんが、久邇京と平城京という二人を隔てる距離がそれを阻んでしまったのでしょうね。

ただ、この後の家持と大嬢の関係はあまりはっきりとしないのですが、家持と大嬢が正式な夫婦となったのは都が久邇京にあった三年の間の出来事だろうと思われることから、この歌などでの心の行き違いもそれほど致命的にはならなかったようですね。

やがて夫婦となるような運命の二人でも、男女が結ばれるにはそれまでに様々な紆余曲折があるということなのでしょう。

以上、家持が大嬢に贈った五首の相聞歌でした。


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万葉集巻四


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県立万葉文化舘名誉館長でもある中西進さんによる万葉集全四冊&別冊万葉集辞典です。
万葉集のほうは原文、読み下し訳、現代語訳、解説文が付けられていて、非常に参考になりこの4冊で一応、万葉集としては充分な内容になっています。
他の万葉集などでは読み下し訳のみで現代語訳がなかったりと、初心者の方には難しすぎる場合が多いですが、この万葉集ではそのようなこともありません。

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