万葉集入門
万葉集入門
日本最古の和歌集「万葉集」の解説サイトです。
分かりやすい口語訳の解説に歌枕や歌碑などの写真なども添えて、初心者の方はもちろん多くの万葉集愛好家の方に楽しんでいただきたく思います。
(解説:黒路よしひろ)

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うつたへに籬(まがき)の姿(すがた)見まく欲(ほ)り行かむと言へや君を見にこそ

巻四(七七八)
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ひたすらに籬の姿を見たくて行くのではありませんよ。あなたの姿を見に行きたいのです。
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この歌も久邇京(くにのみやこ)にいる大伴宿禰家持(おほとものすくねやかもち)が、平城京の紀女郎(きのいらつめ)に贈った五首の歌の一首で、恋歌の形を取った戯れの相聞歌。
先の巻四(七七七)の歌で、あなたの家の間垣を覗きに行ったなら、きっと門から私を追い返すでしょうね。」と詠ったことへの補足の歌ですが、「籬の姿を見たくて行くのではありませんよ。あなたの姿を見に行きたいのです。」と分かり切ったことを言っているのは、つまりはこの歌も戯れに詠んだもので現代風に言うのなら家持の冗談なわけですね。
まあ、この歌を読んだ紀女郎も家持の意外なおどけをきっと面白がって笑ったことでしょう。

ちなみに、このサイトの僕が付けた口語訳のほうでは現代風に男性が女性を「君」と呼ぶ訳がたまにありますが、万葉集の時代には「君」は女性が男性を呼ぶ言葉で男性が女性を「君」と呼ぶことはなかったそうです。
つまり、この歌で男性の家持が女性の紀女郎を「君」と呼んでいるのも、この歌が戯れの冗談であると紀女郎に伝えるためなのですね。


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万葉集巻四の他の歌はこちらから。
万葉集巻四


万葉集書籍紹介(参考書籍)
万葉集(1)〜〜(4)&別冊万葉集辞典 中西進 (講談社文庫) 定価637円〜〜1101円(税込み参考価格)
県立万葉文化舘名誉館長でもある中西進さんによる万葉集全四冊&別冊万葉集辞典です。
万葉集のほうは原文、読み下し訳、現代語訳、解説文が付けられていて、非常に参考になりこの4冊で一応、万葉集としては充分な内容になっています。
他の万葉集などでは読み下し訳のみで現代語訳がなかったりと、初心者の方には難しすぎる場合が多いですが、この万葉集ではそのようなこともありません。

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