万葉集入門
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日本最古の和歌集「万葉集」の解説サイトです。
分かりやすい口語訳の解説に歌枕や歌碑などの写真なども添えて、初心者の方はもちろん多くの万葉集愛好家の方に楽しんでいただきたく思います。
(解説:黒路よしひろ)

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大伴宿禰家持の娘子(をとめ)に贈れる歌三首

前年(をととし)の先(さき)つ年(とし)より今年(ことし)まで恋ふれど何(な)そも妹(いも)に逢(あ)ひ難(がた)き

巻四(七八三)
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一昨年もの先年から今年まで恋つづけているのになぜあなたに逢い難いのでしょう。
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この歌は大伴宿禰家持(おほとものすくねやかもち)が、娘子(をとめ)に贈った三首の恋歌のうちの一首。
万葉集には「娘子」とだけ出て来る人物が何人もいますがそのほとんどは架空の恋として詠われたもので、この歌の娘子も巻四(六九一)などとおなじく家持が詠んだ架空の恋歌かと思われます。

「前年」とは「一昨年(おととし)」のことで、当時は年を「前年(おととし)」「去年(こぞ)」「今年(ことし)」というように表記したようです。
ちなみに、日だと「前日(おとつひ)」「昨日(きのふ)」「今日(けふ)」といった感じだったようですね。

家持がこの歌を詠んだのがいつのことかはっきりとはしないのですが、万葉集巻四の歌がある程度年代順に並べられていると解釈すると家持が久邇京(くにのみやこ)にいた頃でしょうか。
つまりは大伴坂上大嬢(おほとものさかのうへのおほをとめ)に恋歌を贈っていた時期と重なるわけですが、あるいは大嬢との関係に一時期亀裂の生じた巻四(七四四)の頃に大嬢への思いを架空の娘子への恋歌として表現したのかも知れませんね。
そんなうまくゆかない現実の恋が下地にあったためでしょうか、この歌の中の娘子ともやはり家持は逢うことが出来ないのでした。

家持の娘子への片恋歌はさらに続きます。


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万葉集巻四


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万葉集のほうは原文、読み下し訳、現代語訳、解説文が付けられていて、非常に参考になりこの4冊で一応、万葉集としては充分な内容になっています。
他の万葉集などでは読み下し訳のみで現代語訳がなかったりと、初心者の方には難しすぎる場合が多いですが、この万葉集ではそのようなこともありません。

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