万葉集入門
日本最古の和歌集「万葉集」の解説サイトです。
分かりやすい口語訳の解説に歌枕や歌碑などの写真なども添えて、初心者の方はもちろん多くの万葉集愛好家の方に楽しんでいただきたく思います。
(解説:黒路よしひろ)
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藤原朝臣久須麿の来報(こた)へたる歌二首
奥山(おくやま)の磐(いは)かげに生(お)ふる菅(すが)の根のねもころわれも相思(あひおも)はずあれや
巻四(七九一)
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奥山の岩陰に生える菅の根のようにねんごろに私もお嬢さまのことを大切に思っております。
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この歌は藤原朝臣久須麿(ふじはらのあそみくすまろ)が大伴宿禰家持(おほとものすくねやかもち)の娘に求婚したときの相聞歌で、娘の父である家持からの返事の巻四(七九〇)の歌などに久須麿がさらに答えた二首のうちのひとつ。
「春風が音を立てて吹けば心の霞も払われましょうから、しばらくはこのままで…今でなくとも、いつかあなたのお望み通りになることもありましょう。」との家持の返事に対して、「奥山の岩陰に生える菅の根のようにねんごろに私もお嬢さまのことを大切に思っております。」と、自分も家持とおなじように家持の娘の未来のことを大切に思っていると伝えています。
つまりは久須麿もまだ恋心すら知らないような家持の幼い娘を政略結婚で妻にすることに、あまり乗り気ではなかったということでしょうか。
久須麿から求婚しておきながら乗り気でなかったというのも妙な話ですが、おそらくはこの政略結婚の申し出は父の仲麿が久須麿に勧めたものだったのでしょうね。
「ねんごろに私もお嬢さまのことを大切に思っております。」との誠実な言葉に、まだ政治の世界の汚さに染まりきっていない久須麿の若さが感じられて素敵な一首のように思います。
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万葉集巻四
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万葉集のほうは原文、読み下し訳、現代語訳、解説文が付けられていて、非常に参考になりこの4冊で一応、万葉集としては充分な内容になっています。
他の万葉集などでは読み下し訳のみで現代語訳がなかったりと、初心者の方には難しすぎる場合が多いですが、この万葉集ではそのようなこともありません。
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