万葉集入門
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日本最古の和歌集「万葉集」の解説サイトです。
分かりやすい口語訳の解説に歌枕や歌碑などの写真なども添えて、初心者の方はもちろん多くの万葉集愛好家の方に楽しんでいただきたく思います。
(解説:黒路よしひろ)

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現(うつつ)には逢ふよしも無しぬばたまの夜(よる)の夢(いめ)にを継(つ)ぎて見えこそ

巻五(八〇七)
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現実には逢う術もありません。ぬばたまの夜の夢に絶えずあなたを見たいものです。
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この歌も先の巻五(八〇六)の歌と同じく、奈良の都からの手紙の返書として大宰府に居た大伴旅人(おほとものたびと)が贈った二首の歌のうちのひとつ。
「現実には逢う術もありません。ぬばたまの夜の夢に絶えずあなたを見たいものです。」とは、なんとも素直な表現の一首ですよね。
あまりの素直な詠いっぷりに現代短歌なら捻りがないとの批評をされそうですが、大伴旅人の歌として読むとその大らかな性格のイメージとも相まってか魅力的に見えて来るから不思議です。

まるで恋歌のような内容ですが、遠く大宰府(福岡県太宰府市)の地で逢うことの出来ない奈良の都の人々は、旅人にはほんとうに恋しくて仕方がなかったのでしょう。

「現には逢ふよしも無し」との言葉もまた、この歌を贈った相手のいる奈良の都への郷愁が言わせたものだったのではないでしょうか。
大宰府の地での旅人は、常に奈良の都へ思いを馳せていたようです。


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万葉集巻五


万葉集書籍紹介(参考書籍)
万葉集(1)〜〜(4)&別冊万葉集辞典 中西進 (講談社文庫) 定価637円〜〜1145円(税別)
県立万葉文化舘名誉館長でもある中西進さんによる万葉集全四冊&別冊万葉集辞典です。
万葉集のほうは原文、読み下し訳、現代語訳、解説文が付けられていて、非常に参考になりこの4冊で一応、万葉集としては充分な内容になっています。
他の万葉集などでは読み下し訳のみで現代語訳がなかったりと、初心者の方には難しすぎる場合が多いですが、この万葉集ではそのようなこともありません。

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