万葉集入門
万葉集入門
日本最古の和歌集「万葉集」の解説サイトです。
分かりやすい口語訳の解説に歌枕や歌碑などの写真なども添えて、初心者の方はもちろん多くの万葉集愛好家の方に楽しんでいただきたく思います。
(解説:黒路よしひろ)

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伏して来書(らいしょ)を辱(かたじけな)くし、具(つぶさ)に芳旨(はうし)を承りぬ。忽ちに漢(あまのがは)を隔つる恋を成し、復(また)、梁(はし)を抱く意(こころ)を傷(いた)ましむ。唯(た)だ羨(ねが)はくは、去留(きよりう)に恙無(つつみな)く、遂(つひ)に雲を披(ひら)くを待たまくのみ。

歌詞両首 大宰師大伴卿

龍(たつ)の馬(ま)も今も得てしかあをによし奈良の都に行きて来(こ)む為

巻五(八〇六)
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天を翔る龍の馬も今は欲しいものです。奈良の都に行ってくるために。
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この歌は奈良の都からの手紙の返書として、大宰師の大伴旅人(おほとものたびと)が贈った二首の歌のうちのひとつ。

歌の前の文章の内容は「謹んでお便りをいただきご趣旨を承知いたしました。にわかに天の川を隔てた織姫と牽牛のように恋しい気持ちが増して、橋梁を抱いて死んだ故事の様に切なさを感じます。願わくば身にお変わりなくついに再会できる日を待つばかりです。」といった感じでしょうか。
「橋梁を抱いて死んだ故事」とは、尾生という男が橋の下で女を待ち、水かさが増しても去らずに柱を抱いて死んだ故事のこと。
この文章は旅人が送った手紙に奈良の人物が返した返書との解釈と、旅人が奈良の都の人物からの手紙にさらに歌を添えて返した返書との、二つの解釈に分かれているようですね。

どちらにしても、歌のほうは大伴旅人が贈ったもので、「天を翔る龍の馬も今は欲しいものです。奈良の都に行ってくるために。」と、今すぐにでも空を飛んで行って逢いたいものですとの素直な思いが詠われています。
旅人とこのやり取りをした人物についてははっきりとしたことはわからないようですが、手紙の内容からどうやら女性であるようですね。
あるいは巻四(五五三) や 巻四(五五四)でも旅人と歌のやり取りをしている丹生女王(にふのおほきみ)でしょうか。

空を飛んで自由に行き来できる龍の馬が欲しいとの願いは現在人でも充分に理解できる感情ですが、奈良の都から遠く大宰府(福岡県太宰府市)の地にあった大伴旅人にとっては心からの切実な願いでもあったのでしょう。
旅人らしい率直な詠い口がまた魅力的な一首でもあります。


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万葉集巻五


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万葉集(1)〜〜(4)&別冊万葉集辞典 中西進 (講談社文庫) 定価637円〜〜1145円(税別)
県立万葉文化舘名誉館長でもある中西進さんによる万葉集全四冊&別冊万葉集辞典です。
万葉集のほうは原文、読み下し訳、現代語訳、解説文が付けられていて、非常に参考になりこの4冊で一応、万葉集としては充分な内容になっています。
他の万葉集などでは読み下し訳のみで現代語訳がなかったりと、初心者の方には難しすぎる場合が多いですが、この万葉集ではそのようなこともありません。

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