万葉集入門
日本最古の和歌集「万葉集」の解説サイトです。
分かりやすい口語訳の解説に歌枕や歌碑などの写真なども添えて、初心者の方はもちろん多くの万葉集愛好家の方に楽しんでいただきたく思います。
(解説:黒路よしひろ)
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反歌
天地(あめつち)の共(とも)に久しく言ひ継(つ)げと此の奇魂敷(くしみたまし)かしけらしも
右の事を伝へるは、那珂(なかの)郡の伊知(いち)の郷蓑島(さとみのしま)の人、建部(たけべ)牛麿なり。
巻五(八一四)
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天地と共に久しく語り継ぐようにと、この神妙な御霊はこの地を統治なさるのだろう。
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この歌は筑前国司の山上憶良(やまのうへのおくら)が筑前の地に伝わる二つの石の伝承を伝え聞いて詠んだ歌で、先の巻五(八一三)の長歌に付けられた反歌です。
左注によると、憶良にこの伝承を伝えた人物は那珂(なかの)郡の伊知(いち)の郷蓑島(さとみのしま)の人、建部(たけべ)牛麿とのこと。
歌の内容は「天地と共に久しく語り継ぐようにと、この神妙な御霊はこの地を統治なさるのだろう。」と、神功皇后が子負(こふ)の原の海に臨める丘の上にお置きになったという二つの石を、皇后の御霊そのものとして讃えて詠っています。
奈良の都から朝廷の臣として赴任してきた山上憶良にとっては、遠き筑前の地で思いも掛けず神功皇后の伝承に触れたことは非常に興味深い出来事だったのでしょうね。
実際に憶良がこの石を見に行ったかどうかまではわかりませんが、憶良にしてはめずらしく由緒ある言い伝えの石を言祝いだ呪術的な要素も感じられて、興味深い一首となっているように思います。
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万葉集巻五
万葉集書籍紹介(参考書籍)
万葉集(1)〜〜(4)&別冊万葉集辞典 中西進 (講談社文庫) 定価637円〜〜1145円(税別)
県立万葉文化舘名誉館長でもある中西進さんによる万葉集全四冊&別冊万葉集辞典です。
万葉集のほうは原文、読み下し訳、現代語訳、解説文が付けられていて、非常に参考になりこの4冊で一応、万葉集としては充分な内容になっています。
他の万葉集などでは読み下し訳のみで現代語訳がなかったりと、初心者の方には難しすぎる場合が多いですが、この万葉集ではそのようなこともありません。
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